NHK紅白歌合戦の裏番組に“M-1”を!? 巻き返せない視聴率と時代の流れ…
伝統の番組もいよいよ耐用年数が尽きてきたのかもしれない。昨年の大みそかに放送された『第74回NHK紅白歌合戦』の視聴率が発表され、その結果に業界がザワついているのだ。
発表された平均世帯視聴率(関東地区)は第1部が29.0%。第2部が31.9%。2部制となった1989年以降、第1部が30%を切るのは初めてで、第2部も過去最低だった2021年の34.3%を下回るワースト記録となった。
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「この10年で見ても10%近く視聴率を落としており、凋落傾向は止まりません。番組自体が時代にそぐわなくなってきたということでしょう」(放送作家)
これに対し、民放の裏番組で最も視聴率が高かったのはテレビ朝日系『ザワつく!大晦日』の平均12.3%で、同番組はこれで3年連続民放トップ。その他の民放は軒並み1桁台にとどまっている。
こうした状況の中、今年の大みそかにトンデモない爆弾企画を提案するのが『M-1グランプリ』の審査員を2002年から5年間にわたって務めたこともある大物芸人だ。
「うちのカミさんは『M-1』を紅白の裏でやったらおもろいと言ってましたわ。旧ジャニーズのタレントが出ないと視聴率が取れない紅白なら『M-1』で十分勝負できる。大みそかに決勝戦を生放送したらおもろいと思いますよ」
こう話すのはレジェンド漫才コンビ『B&B』の島田洋七氏。なるほど、今や『M-1』は国民的番組といっても過言ではない。一般的にはほぼ無名だったお笑いコンビの『令和ロマン』が優勝した昨年の大会も、関東で17.2%、関西では28.0%という高視聴率を記録しており、生放送という点も大みそかにはピッタリだ。
「実は昨年の『M-1』の関西の瞬間最高視聴率は32.2%で、紅白の視聴率を超えています。お笑いは年齢に関係なく幅広い層で楽しめるコンテンツだし、歌よりはるかに若い世代の支持がある。今の紅白なら『M-1』の方が視聴率を取ると思いますよ」(お笑いライター)
今回の紅白の低迷は事前に予想されたことではあった。昨年は故ジャニー喜多川氏の性加害事件が表面化し、テレビ局の忖度が社会問題となったのは周知の通り。NHKはこの影響を鑑みて旧ジャニーズタレントの出演取り止めを決定していたからだ。
「直前になって元男闘呼組系のバンド・RSCの出演が決まりましたが、若いファンの多いバンドではなく、視聴率にはほとんど影響なかった」(前出・放送作家)
ボーダレスのテーマも甲斐なく
NHKもここまでは想定の範囲内だったはず。ただし、代わって増えたのが韓流グループではどうしようもない。「今のテレビのメイン視聴者層は50代以上の中高年世代です。この世代にとってジャニーズ勢が消えるのは歓迎でも、代わりが韓流グループではピンとこなかったのでしょうね」(同)
では、今年の紅白で旧ジャニーズ勢が復活すれば視聴率は戻るのか。被害者への補償状況などを見る限り、出場できるようになっている可能性は高いのだが…。
「ハッキリ言って視聴率の回復は難しいでしょう。ヒット曲もない旧ジャニタレが出れば、忖度の炎上は免れない。人気若手グループに限れば、女性ファンは増えるかもしれないが、そもそも若い視聴者はもうテレビを見ませんからね」(同)
一部の旧ジャニーズグループはすでにネットメディアに移行しており、人気グループのSnow Manは昨年の紅白の裏でYouTubeの生配信を行い最大接続数133万人の日本記録を達成している。
「昨年の紅白のテーマはボーダレスでしたが、一つの価値観をお茶の間で共有するテレビは、やはり時代遅れなんです。このままジリジリと消えていくしかないでしょう」(夕刊紙記者)
ジリ貧の紅白に引導を渡せる裏番組はあるのか。少なくとも今の『ザワつく!』では勝負になりそうにない。紅白の裏といえば、長い間トップを守ってきたのが日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の特別番組「絶対に笑ってはいけない」シリーズだ。15年間にわたって大みそかに放送され、紅白を脅かす番組として親しまれてきた。コロナの影響によって2021年に休止して以降、毎年のように復活待望論がささやかれてきたが、これも幻となりそうだ。
ダウンタウンの松本人志は〝文春砲〟による女性スキャンダル報道で、裁判に注力したいと活動休止する発表があったが、今のところ先行きは不透明。仮に事実としたら、番組復活が消滅するどころかテレビ業界全体に大打撃となる。
「今のテレビを支えているのは松本コンテンツです。かなりの大混乱になるでしょうね」(同)
ジャニー喜多川氏の性加害事件が表沙汰になった後だけに、メディアも慎重にならざるを得ない。
「だからこそ『M-1』なんです。審査員の松本がどうなろうと『M-1』人気は揺るぎません。島田紳助氏が引退しても番組が続いたように、松本抜きでも『M-1』の存続は可能ですし、吉本興業とテレ朝側が英断すれば、紅白の真裏での生放送は決して夢物語ではない」(前出・お笑いライター)
紅白が高視聴率を博した昭和は、歌番組が王道だった。しかし、平成から令和にかけてテレビの中心になったのは明らかにお笑いである。その頂点が『M-1』だとすれば、これほど大みそかにふさわしいコンテンツはないのかもしれない。
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