監督/スコット・ウォー
出演/ジェイソン・ステイサム、シルヴェスター・スタローン、50セント、ミーガン・フォックス、ドルフ・ラングレン、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、ランディ・クートゥア、アンディ・ガルシア
配給/松竹、ポニーキャニオン
自らを〝消耗品〟と名乗る最強の傭兵軍団エクスペンダブルズ。大人気シリーズの第4弾が日本の正月めがけてやってきました。
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映画の開始5分ほどで始まる銃撃戦。最後までノンストップでドンパチが続きます。軍団が〝消耗品〟というよりも、とにかく色んなものが消耗されているなと感じました。
開始早々、テロリストに襲撃を受けて皆殺しにされるリビア軍の兵士たち。徹底的に破壊される建物。それに用いられる銃弾や火薬…最初から終わりまで消耗しっぱなしです。
建物はもちろん、飛行機や船舶のうちのかなりの部分はCGでしょうから、実際は消耗していないのでしょうが、まさにCGの時代ならではな〝消耗品〟映画です。しかも御年77歳にして現役スターのスタローンが早々に消耗品扱いされるという…なんて贅沢な映画なんでしょう。
それにしても、「正義の味方対宿敵」の構図は延々と繰り返されています。
『荒野の七人』では「ならずもの集団」だったのが、テロリストに変わっているだけですね。
まさにアメリカ人好みの勧善懲悪ストーリー。無骨な面々の間の会話には、小粋なアメリカンジョークが満載です。
ツッコミながら楽しむ映画
これが正月映画というのは納得ですね。正月から小難しい映画は見たくないですから。年の始めはのんびりと、ぶっ放してばかりの映画をオイオイとツッコミながら楽しまれるのがよろしいんじゃないでしょうか。
それにしても、今起こっているイスラエルやロシアの暴走を止めるために、エクスペンダブルズがいてくれたらと思わずにいられません。
ところで、冒頭に出てくるリビア軍。アメリカ映画では仮想敵国扱いされることがしばしば。現実では約10年前、元最高指導者のカダフィ大佐が反体制派に血祭りに上げられ、テロ国家は崩壊したということになっています。しかし、民主化が実現するどころか泥沼の内戦状態に逆戻りし、お話になりません。
自分は約20年前に観光で訪れていまして、当時のリビアは世界遺産など観光施設に恵まれ、砂漠の中にポツンとあるドライブインでも、ちゃんと水洗トイレが使えるぐらい社会インフラが整備されていました。
人々はカダフィの話さえしなければ幸せそうでしたし、自分も案外いい国だなと感じた覚えがあります。
本作でもリビアが独裁者に統治されたテロ国家のイメージで描かれていて、アメリカはいまだに固定観念を流布しているのかと思わずにはいられませんでした。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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