(画像)Alexander Khitrov / Shutterstock.com
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北朝鮮・異例の「能登半島地震見舞い」から見えた宗教的“革命精神”

1月6日の北朝鮮国営朝鮮中央通信は、金正恩総書記が能登半島地震について5日に岸田首相に見舞いの電報を送ったと報じた。


「日本の災害で北朝鮮の最高指導者が見舞いの電報を送るのは極めて異例です。各種ミサイルの発射で、日米韓を挑発する北朝鮮ですが、隣国への災害見舞いは『我々は、普通の国だ』との意思表明とも取れます」(北朝鮮ウオッチャー)


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世界の過半の国々は北朝鮮を〝普通の国〟だと思っていない。昨年12月8日の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は正恩氏に倣って何千ものグループが白頭山に登ったことを称賛、国民に「革命精神」の高揚のために白頭山に登れとげきを飛ばした。


「北朝鮮・両江道と中国・吉林省の国境上にそびえたつ白頭山(標高2744メートル)は、国を象徴する山であり活火山です。朝鮮の神話に登場する最初の朝鮮人、檀君はこの山で生まれたとされ、韓国でも『聖山』とし国歌に登場します。これまで100年に一度の小噴火と、1000年に一度の大噴火を繰り返してきたという歴史があり、西暦946年に起きた大規模噴火は世界最大級ともされる巨大噴火で、その勢いは凄まじく頂上に現在の直径5キロのカルデラが形成され、火山灰は偏西風に乗って日本の東北地方にも降り注ぎました」(同)

巡礼は義務化…!?

正恩氏は、たびたび同地で写真を撮っている。最も有名なのは2019年、白馬に乗って白頭山の雪道を走る写真だ。

「北朝鮮は1970年代から1980年代にかけて、金日成・初代国家主席と白頭山を結びつけるプロパガンダを盛んに行っています。金日成将軍が、森の斜面に秘密のゲリラ本部を設立し、日本軍とゲリラ戦を展開、その時にここで息子(金正日・前総書記)が誕生したという説を確立させたのです」(国際ジャーナリスト)


こうして神話に彩られたこの聖なる山を金一族の神話と結びつけ、3世代にわたって北朝鮮を支配する強力な個人崇拝の中核的シンボルとしたのである。


やがて白頭山への巡礼は義務化され、北朝鮮に「キム教」という唯一神が定められることになりそうだ。