社会

鉄道ピンチ…阪急京都線“インバウンド需要”の回復を見据えた思惑

阪急京都線の特急車両で新たな有料座席が登場予定
阪急京都線の特急車両で新たな有料座席が登場予定 (画像)sabthai / Shutterstock

新型コロナウイルスの感染拡大は鉄道輸送にも大きな影響を与え、鉄道各社は始発終電時刻の変更、運行体制の見直しを余儀なくされている。

そんな中、2月16日に阪急阪神ホールディングスが、阪急京都線の特急車両に新たな有料座席を検討していることを明らかにした。全席指定のゆったりとしたリクライニング仕様で、パソコンや携帯用のコンセントを完備した、文字通りの特別席。今年中の導入を予定している。

沿線利用者からの反応も「本当なら早く実現してほしい」と、おおむね好評だ。これまでにも阪急は、観光客の利用が多い京都線、嵐山線で特別仕様の電車を走らせているが、特別な運賃は必要なかった。

それが今回、有料座席を検討しているのは「コロナ禍なので〝3密〟を避けて乗りたい」という利用者の声に応え、よりリラックスできる空間を提供するためだという。コロナ対策と快適な乗り心地で、一石二鳥のようだが…。

アフターコロナの1つの流れ

「京阪が導入した『プレミアムカー』や近鉄の新型特急『ひのとり』『青のシンフォニー』に対抗する意味もありますね。それとインバウンド需要への対応です。今でこそ壊滅状態のインバウンドですが、いつまでも続くことはない。状況が変わったときのため、観光客の多い京都線に、今からテコ入れをしておくという狙いもあるでしょう」(在阪の鉄道ライター)

関西の鉄道各社は、近鉄、南海の特急以外、これまでは普通運賃のみで利用できるというのが基本だった。今回の特別仕様は、アフターコロナを見据えた1つの流れになるだろう。

こうなると、普通運賃だけの阪神、山陽電車の動きも気になるところだ。

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