(画像)Naresh777 / Shutterstock.com 
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医師報酬は増額!? 裏には岸田首相が是が非でも欲しい選挙票が…

日本医師会は、笑いが止まらないのではないだろうか。先ごろ、医療機関の収入となる診療報酬の2024年度の改定率が決まった。


診療報酬は2年に一度見直され、毎回、膨張する社会保障費の削減に向け改定率の引き下げを求める財務省と、引き上げを求める日本医師会(日医)との間で攻防が繰り広げられる。無論、今回も例外ではなかった。


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「駆け引きは激しさを増し、最終的に岸田文雄首相の裁定に持ち込まれた。その結果、診療報酬のうち医師や看護師らの人件費などに充てられる『本体』は0.88%の引き上げ。一方で、薬の公定価格『薬価』は1%下げることとなった。差し引きして全体では0.12%のマイナスとなり、医療費の抑制はわずかしか、かなわなかったのです」(関係者)


近年、本体部分は0.4〜0.5%前後の引き上げで推移しており、これを踏まえれば物価高を考慮したとはいえ、今回は相当、日医寄りの裁定だったといえる。


「日医寄りの厚生労働省は1%超を求めていたため、日医の松本吉郎会長は記者会見で『必ずしも満足するものではないが、率直に評価したい』とコメントしたほど。ただし『クリニックなどの診療所は、十分もうかっている』と0.3%程度の引き上げに抑えたかった財務省の思惑を退けた日医関係者らは、『首相はよく決断してくれた』と大喜びだったのです」(同)

借金を背負うのは将来世代

ちなみに、今回は介護報酬の見直しも行われ、こちらは1.59%引き上げられた。介護従事者の賃金水準は他産業よりも低いため、処遇改善のためには仕方ないとの見方が一般的だが、診療報酬と差し引きすると、かなりのプラス改定となったことが分かるのだ。

全国紙の厚労省担当記者はこう語る。


「首相は少子化対策の財源を確保するため、社会保障分野の歳出改革を断行すると息巻いていましたが、結局、改革をする気はほぼないということ。このままだと少子化対策は公債という名の借金で賄われ、そのツケは将来世代が背負うことになりかねないのです」


首相が向いている先は、国民ではなく選挙で票をくれる日医というわけだ。