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蝶野正洋『黒の履歴書』~明るいニュースがあまりなかった2023年を振り返って

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

年の瀬も押し迫る中、残念な訃報が続いている。プロレス界では、木戸修さんが亡くなった。新日本プロレスの旗揚げメンバーで、「いぶし銀」と呼ばれた職人肌のレスラーだった。

俺は木戸さんが亡くなったという一報を関係者から聞いたけど、入院先に搬送する途中で容体が急変したという。


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木戸さんがプロレス会場に姿を見せたのは、2020年2月に開催された「プロレスリング・マスターズ」が最後だった。あの興行は、(アントニオ)猪木さんが来場していて、長州(力)さん、武藤(敬司)さん、前田(日明)さん、そして俺に闘魂ビンタを喰らわせたりして、大いに沸いたことを覚えている。

俺が最後に木戸さんにお会いしたのは、猪木さんの葬儀だった。そのときは木戸さんが病気という話は伺ってなかったけど、ちょっとやつれている感じがあったので心配はしていた。

角界からは、元関脇の寺尾こと、錣山親方の訃報も届いた。まだ年齢は60歳というから、俺の学年の1つ上でほぼ同世代。まだ早すぎるよね。

プロレスラーや力士は、現役時代に体重を増やすために無理な過食をしたりするので、体のバランスが崩れやすく、糖尿病になってしまうことが多い。引退すると運動量も落ちるから、より摂生した生活を送らなければならなかったりする。

俺も月1回の定期検診は行くようにしていて、血糖値などを調べている。でも、ちょっと食べすぎたりすると、すぐ数値が悪くなってしまうから、日頃から気をつけなきゃいけない。今まで体を酷使してきた分、より丁寧で適切なケアが必要なことが、年を重ねるごとに身に染みるよ。

夢にまで出てきた大谷翔平選手

振り返ってみると、23年は明るいニュースがあまりなかったか。ウクライナ・ロシア紛争も終わりが見えないしパレスチナ問題も長引きそうだ。経済的にも、円安で物価高が止まらないなど、先行きが不安なことも多い。

そんな中で、突出して明るい話題だったのが、大谷翔平選手の活躍だね。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)優勝をけん引し、メジャーリーグでもホームランを連発。そしてオフシーズンになっても、ドジャースと結んだ10年間総額で7億ドル(約1015億円)という大型契約で話題を席巻している。23年のスポーツニュースで、大谷選手が見出しにならなかった日はないくらいの存在感だった。

俺もずっと追いかけていたせいか、夢の中に大谷選手が出てきたんだよ。地方巡業をしていて、そのドレッシングルームに、俺と大谷選手がいる。これから野球をやるのか、プロレスするのかは分からないけど、俺が大谷選手に「もっとこうしたほうがいいよ」とアドバイスしていた。この年齢になって、あんな夢を見るなんて思わなかったね。

個人的に23年の大きな出来事は、2月に行われた武藤さんの引退試合でリングに上げられたことだ。それも踏まえて、俺の23年の漢字一文字は「還」にしようと思う。23年で還暦を迎えて、文字通りひと回りしたような気持ちになったし、またここから新しい人生が始まっていくんだという心構えを持つことができた。

24年は心機一転、さまざまな分野にチャレンジしていこうと思っているよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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