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来年も続く可能性の高い「財務省管理内閣」~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』

森永卓郎
森永卓郎 (C)週刊実話Web 

岸田総理は12月14日、首相官邸で記者団に、安倍派の閣僚を全員交代させたことについて、「所属する政策集団(派閥)がどこかではなくて、一人一人の意向や事情を勘案した上で判断した。実際、政務官の大部分は残留してもらっている」と、今回の閣僚人事が安倍派排除ではないことを強調した。

しかし、それはどう考えても詭弁だ。岸田総理は、党内で力を持つ安倍派の大臣だけでなく、安倍派の副大臣も全員交代させた。一方、政務官は若手議員で、そもそもパーティー券販売のノルマを超過達成するほどの力もない。つまり、もともと「無罪」の可能性が高いのだ。

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また、岸田総理は安倍派の世耕弘成参院幹事長、高木毅国会対策委員長も交代させた。自民党幹部からも安倍派を一掃したのだ。さらに松野博一官房長官の後任は、岸田派の林芳正氏、鈴木淳司総務大臣の後任は、麻生派の松本剛明氏だ。つまり、岸田総理は、自分のライバルになり得る安倍派の大物を一掃して、内閣を身内で固める戦略を取ったのだ。もちろん、24年秋の総裁選で自らの再選を確実にするためだろう。

3月11日、福島県相馬市で行われた子供たちとの対話のなかで、首相になりたかった理由を尋ねられた岸田総理は「日本で一番権限が大きい人なので」と答えた。つまり、何かの政策を実現したいから総理大臣になったのではなく、権力への執着が岸田総理の政治家を続ける原動力なのだ。

“反”財務省の政権

しかし、政治資金問題で安倍派を排除することは、諸刃の剣だ。政権自体の信認を揺るがすからだ。実際、12月の時事通信の世論調査で、内閣支持率は17.1%と過去最低を大幅に更新した。しかし、それでも選挙に勝てると岸田総理は踏んでいるのだろう。実際、自民党の支持率は18.3%で、第2位である立憲民主党の4.4%を4倍も上回っている。この状況に笑いが止まらないのが、財務省だろう。財務省管理内閣が継続できるからだ。

さらに、立憲民主はすでに消費税率引き下げの看板を下ろしている。消費税引き下げを主張していた日本維新の会と国民民主党も、消費税引き下げを含まない政府の補正予算案に賛成してしまった。消費税の引き下げを継続して掲げる共産党とれいわ新選組の支持率は、上昇気味とはいえ、それぞれ1.9%と1.5%しかない。つまり、選挙がどう転んでも、反財務省の政権ができる可能性はゼロに近いのだ。

ただ、私はまだ可能性が残されていると考えている。秋の自民党総裁選に立候補することを同党の青山繁晴参院議員がすでに表明しているからだ。青山氏は、自民党の若手議員102人で構成する「責任ある積極財政を推進する議員連盟」のメンバーだ。自民党総裁選で、岸田総裁に背中から撃たれた安倍派の議員や菅グループなどが結集すれば、私は十分可能性があると思う。青山氏は政治献金を受け取らず、政治資金パーティーも開催していない。秘書も、税金でまかなわれる3人だけで回している。「政治にお金はかからない」と公言する青山氏が、増税・増負担路線を完全否定すれば、小泉内閣が誕生したときのような旋風を巻き起こす可能性は十分あるだろう。

逆に言うと、残念ながら、それくらいしか財務省の増税・増負担路線を止める手段は、いまの日本には残されていないのだ。

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