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無罪組員が別の襲撃事件で逮捕…六代目山口組“戦闘員”たちの実態

無罪組員が別の襲撃事件で逮捕…六代目山口組“戦闘員”たちの実態
無罪組員が別の襲撃事件で逮捕…六代目山口組“戦闘員”たちの実態 (C)週刊実話Web

神戸山口組・小嶋恵介舎弟(二代目中野組組長=大阪堺)が、昨年10月、堺市の駐車場において、催涙スプレーで襲撃された事件に進展があった。大阪府警が2月16日、六代目山口組の直系組織である十一代目平井一家(薄葉政嘉総裁=愛知)傘下の井上勲幹部と大久保俊吾幹部を傷害容疑で逮捕したのだ。

「被害者は軽傷でしたが、神戸側へのプレッシャーが強まっていた時期でもあり、当局は対立事件とみて捜査していました。この逮捕は、他県警でも注目されました」(全国紙社会部記者)

注目が集まったのは、またしても六代目山口組による攻撃だったという点だけではなかった。逮捕された井上幹部について、取り沙汰されたのだ。

「平成30年の3月7日に、兵庫県尼崎市の路上で神戸側の古川恵一幹部が工具などで殴られ、全治1カ月のケガをした事件があったやろ。あのとき、平井一家の組幹部2人と井上幹部が傷害容疑で逮捕、起訴されたんやが、その後の裁判で、井上幹部は無罪になっとるんや」(地元記者)

公判で組幹部2人は、井上幹部の共謀について否定。検察側は、下見を含めて現場までの運転手を務めた井上幹部も、その目的を知っていたとして追及した。

「古川幹部の親族が経営しとって、本人も出入りしとる飲食店の前を、井上幹部が車で複数回通っとることなどを上げたんや。神戸地裁の判断は、組幹部2人のほうが井上幹部よりも立場が上で、虚偽の供述をしてまでかばう必要性は見出せないと。『目的を告げると緊張して失敗することも考えられ、外部に漏れないよう情報も最低限にとどめておきたかった』との証言は、不合理ではないとしたんや。よく言われるヤクザの行動原理に照らし合わせた上での判決でもあったで」(同)

その井上幹部が別の襲撃事件で逮捕されたことに、六代目山口組〝戦闘員〟の実態がうかがえるという。

「なんとしても、この分裂を終わらせるいう覚悟が、組員一人一人にあるんやないか。六代目側からは複数のヒットマンも出とるし、武力行使の姿勢を変えん可能性もある」(同)

警察が神経を尖らせる“指揮官”の動き

髙山清司若頭の出所直前となる一昨年9月には、平井一家本部への発砲事件が発生。犯人は分かっていないが、〝戦闘員〟を抱える組織への警戒の表れだったのかもしれない。

一方、2月17日には髙山若頭が動き、一時騒然となった。山口組の〝本丸〟がある神戸に姿を現したのだ。

「新神戸駅で降りて車両で移動したらしいが、その目的が分からず警察も混乱したみたいやで。結局、四国で執行部会があって向かったようやった。〝指揮官〟の動きには、警察も異様なほど神経を尖らせとるで」(関西の組織関係者)

その後、各ブロックでも会合が行われ、「特殊詐欺に関わった組員は絶縁」などの伝達があったという。

また19日には、古川幹部射殺事件で殺人などの罪に問われた朝比奈久徳元組員に、判決が下された。

「主文、被告人を無期懲役に処す」

神戸地裁の法廷に裁判長の乾いた声が響いたが、証言台の前に立つ朝比奈元組員は覚悟していたのか、「はい」と短く言葉を発し、前を見据えたまま微動だにせず判決文を聞いた。

当日は傍聴人に対して厳重な手荷物検査とボディーチェックが実施され、証言台と傍聴席の間には分厚いアクリル板が設置されるという厳戒態勢が敷かれた。傍聴席には、朝比奈元組員がかつて所属していた二代目竹中組(兵庫姫路)の安東美樹組長や、村上茂徳若頭(二代目篠原会会長)らの姿があったが、視線を合わせることはなかった。

公判で、検察側は「組織から何らかの指示や支援があった」と追及し、弁護側は「個人的な犯行で組織性はない」などと組織的な関与を否定しており、裁判所の判断が注目されていた。裁判長は「被害者が裏切り者だという思いを抱き、『男になって死に有名になりたかった』などという動機は組織への忠誠心からで、組織的犯行は認められないとしても、有期刑を選択する余地はない」と述べたのだ。

神戸地裁は特定抗争指定の警戒区域に当たるが、安東組長は公判に続いて数人で姿を現し、傍聴した。かつての組員がたどる運命を見届けるためだったのか。

“抗争のキーマン”逮捕

2月19日には親戚団体である七代目合田一家・末広誠総長(山口下関)の誕生祝いのため、六代目山口組・篠原重則幹部(二代目若林組組長=香川)が胡蝶蘭を届けた。誕生日は2月20日だが、今年は新型コロナによって一般社会が自粛ムードにあることを鑑み、訪問は見送られたようだ。

しかし、警察当局はコロナ禍でも取り締まりの手を緩めず、20日、大阪府警が弘道会・野内正博若頭を車検の際、他人名義の申請書を偽造して提出したとする有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。

「主要人物が乗る車のナンバーなんかを、警察もよく見とるんやろな。分裂後、野内若頭が逮捕されたんは、これで二度目や。抗争のキーマンの一人とみられとって、実際に髙山若頭が出所してから弘道会のナンバー2に就いとる。せやから、牽制する意味でも逮捕に踏み切ったんやないか」(ベテラン記者)

無罪から再び逮捕となった組員、無期懲役が下された元組員、そして、最前線に立つ〝キーマン〟。それぞれの胸中やいかに――。

一方、山口組が分裂に揺れる渦中で、2月14日、元直系組長が変死体で発見されるというショッキングなニュースが飛び交った。

「熊本県八代市の山林で、男性が死亡しているのが発見されました。警察は自殺とみていますが、2日前には現場から約1キロ離れた民家で殺害事件が起きており、関連性を調べています」(全国紙社会部記者)

山林で発見されたのは、六代目山口組の元直参である三代目大門会の奈須幸則元会長だった。後藤忠政・元後藤組組長の除籍に関連して、平成20年10月、六代目山口組から絶縁処分を受けて引退。総勢7人の直系組長が処分された。

この〝大量処分〟では、のちに神戸山口組で現役復帰を遂げる太田守正・元太田興業組長の名もあった。その太田元組長も現在は神戸山口組から引退。

激動の時代を知る元直系組長らにも、予測の付かない運命が待ち受けていたといえそうだ。

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