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12月が危ない!? 南海トラフ巨大地震に“不気味なデータ”が存在した

MaryTraveller
フィリピン・ミンダナオ島 (画像)MaryTraveller/Shutterstock 

12月2日夜、フィリピン南部のミンダナオ島付近でM(マグニチュード)7.7の巨大地震が発生した。地震が起きたエリアは人口の少ない地域だったため、妊婦1人が崩れた住宅に挟まれて死亡、12人が負傷と被害は少なかったが、近くの離島では64センチの津波を観測。日本でも3日午前に八丈島で40センチ、宮崎や鹿児島など太平洋沿岸の各地で最大20センチ程度の津波が観測されたほどだった。

また、震源地近くでは3日夜にもM6.6の地震が発生したが、同日夕にはミンダナオ島から約2700キロ離れたインドネシア・スマトラ島のマラピ火山が噴火。噴煙が高度1万5000メートルまで達したこの大規模災害で、登山者22人の死亡が確認された。

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時を同じくして東南アジアを襲った巨大地震と火山の噴火は、いずれもプレートの活性化に伴う地殻変動が原因とみられているが、実はこれら天災はわが国にとっても〝対岸の火事〟ではないのである。

武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が言う。

「ミンダナオ島の地震はフィリピン海プレート上で発生しており、インドネシアの火山噴火もこのプレートの活発化が原因でしょう。ただ、近年は太平洋を囲むように山々がそびえる環太平洋造山帯が、急速に活性化し災害が頻発している。今後も地殻変動による大きな天災が続く可能性が高いのです」

島村氏の言う通り、今年11月には南太平洋のパプアニューギニアでウラウン火山が噴火。また、昨年1月にはトンガ沖で海底火山が爆発し、世界中に津波が押し寄せたが、実は日本はこの環太平洋造山帯の構成国。そのため近々、南海トラフ地震が起こる可能性が指摘されているのだ。

年の暮れにかけて重なる大地震

しかも、そこには地震の発生を予言する〝不気味なデータ〟も存在するという。

「それが過去に起きた南海トラフ地震の発生月なのです。同地震は明らかになっているだけで今までに13回起きているが、うち5回が12月に集中している。つまり、この師走に令和の南海トラフ地震が起こる可能性が危惧されているのです」(科学ライター)

このライターが言うのは、1096年の永長地震(12月17日)、1854年の安政東海地震(12月23日=M8.4)と翌日発生した安政南海地震(同年12月24日=M8.4)、そして1944年に起きた昭和東南海地震(12月7日=M7.9)、1946年に起きた昭和南海地震(12月21日=M8.0)の5つ。これらはすべてM8クラスの巨大地震だが、そのいずれもが年も押し詰まった12月に起きているのである。

もっとも、南海トラフ地震に限らず、大地震が12月に起きた例は少なくないという。

「例えば半日の間に複数回も巨大地震が発生したともいわれる1611年の慶長三陸地震(M8.1)は、12月2日に起きている。また、関東大震災より大きな地震として知られる元禄地震(M8.4)も1703年12月31日に発生。さらに世界に目を向けると、インド洋で大津波を引き起こした今世紀最大の地震、スマトラ島沖地震(M9.1)も2004年12月26日に発生しているのです」(同)

震度4以上の地震が37回も発生

無論、他の月にも地震は起きているだけに決めつけることはできないが、地震研究家の間では「海溝型の大地震は冬場に発生する確率が高い」との説もあるという。原因に気候の影響を唱える学者もいるほどなのだ。

科学雑誌の編集者が言う。

「冬は夏に比べて海面の高さが下がる。寒さで海水の分子が縮小し、体積が少なくなるからです。ただ、これが巨大地震を誘発するといわれている。プレート境界部を押さえていた海水の重みが和らぎ、沈み込んでいた陸側のプレートが跳ね上がるからで、冬場に海底を震源とする地震が多いといわれるのもそのためなのです」

また、同じ気候でも気温の寒暖差が地震を誘発するとの説もあるという。

前出の島村氏が続ける。

「震源の浅い地震の場合は、昼夜や前日との寒暖差が地震の引き金となる場合もある。実は、地表(地面)は膨張と収縮を繰り返しており、気温の変化は地殻変動に大きな影響を及ぼすと考えられているのです」

島村氏によると、通常は日中の気温が急激に上昇したり、夜間の気温が下降しやすい4〜5月に地震が起こるリスクが高まるという。だが、今年の師走は昼と夜の温度差が10度以上の日も少なくない。この12月に巨大地震が起こる可能性が高いとの指摘には、こうした現象も影響を与えているのである。

ちなみに「12月」というオカルトめいたキーワードを除いたとしても、南海トラフ地震の発生は「我々が想像する以上に迫っている」との見方が大勢を占めているという。

「その理由が南海トラフが海底に延びる、東海から九州にかけてのエリアの地震の多さなのです。同地域では今年1月から12月5日までの間に、震度4以上の地震が37回も発生している。この回数は2年前の同時期に比べ、倍近い値なのです」(前出・科学ライター)

新型コロナウイルスが2類から5類へと移行し、街はクリスマスイベントに忘年会にと華やいでいるが、今年の年の瀬は用心が必要と言えそうだ。

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