監督・脚本/ジャン=ピエール・アメリス
出演/アルバン・イヴァノフ、サブリナ・ウアザニ、ベランジェール・クリエフ、ギイ・マルシャン、ミシェル・ベルニエ
配給/彩プロ
タイトルが実にシンプルですよね。フランスのコメディー映画だから小洒落てはいても、少々理屈っぽいのかなと思っていましたら、存外に軽やかなタッチ。共感しながらクスッと笑える点もそこここに散りばめられて、気分良く見られるいい映画でした。フレンチコメディーと聞いただけで警戒せず、リラックスしてご覧いただければと思います。
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さて、ストーリーですが、これは言うならばNHK朝ドラの『あまちゃん』だなと。大震災後の地元を盛り上げようと元漁協事務所だった場所に「海女カフェ」を手造りで再建。のんが演じる主人公の地元アイドルが歌ったり踊ったりをしますよね。本作は、まさにフランス版「海女カフェ」による再建ストーリー。3代続いた酪農家兼農場主が経営危機に陥り、何を思ったか、農場の納屋をキャバレーに改装して起死回生を図ります。
日本のキャバレーというと接待の場というイメージがありますが、本場のキャバレーはどちらかというと日本のショーパブとか寄席に近いようです。だから邦題が『ショータイム!』なんですね。
観光客も興味津々の“農村キャバレー”
妖艶なバーレスクダンサーを始め、ちょっと耳の不自由なマジシャン、メークをすると往年のフランス歌手ジュリエット・グレコばりの美女に変身する中年のおじさん、双子のジャグラーなど、いかにも急ごしらえのセミプロパフォーマーを集めていく顛末が面白いです。もちろん、途中で予想外の事態が起き、ピンチに陥るんですが、それでも安心して見られるハッピーエンドのストーリーです。これが、フランスの片田舎であった実話を元にしているというのだからちょっと驚きました。「実話もの」のお約束で、エンドロールに実際の店の様子が出てきますのでお見逃しなく。
本作の客層は、近くの農家の人々。近代化に取り残され、うまくいかない本業の憂さを晴らしに、家族で集まってきているようでした。こじんまりした野外ステージや野外シアターのようなほのぼのとした様相に、こういう地方再生が日本でもあったらいいなぁと思います。最近、古民家がホテルやカフェにリノベされるのが流行していますが、地元民も息抜きできる「農村キャバレー」、観光客も興味津々です。
さて、私めが生まれて初めて映画館で見たミュージカル映画が、ライザ・ミネリ主演の『キャバレー』でした。1972年公開ですから、あれから約50年経って、双璧をなす「キャバレー映画」を見たというわけです。本作の邦題も「キャバレーⅡ」でもよかったのかも。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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