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講談師/一龍齋貞奈インタビュー〜「合コンの幹事はたくさんやりました」〜

一龍齋貞奈
一龍齋貞奈(C)週刊実話

パパン、パン、パン、パンと、リズミカルに張り扇を使う伝統話芸・講談。実はここ数年、入門志願者が急増しているのだという。そんな中、〝美人度高し〟と評判なのが、昨年4月に二ツ目に昇進した一龍齋貞奈だ。大学生時代は女子アナに憧れ、ナレーターとして活躍した後の入門という変わり種。古典的な演目だけではなく、新作にも意欲的に取り組む。そんな彼女が、講談師人気のヒミツから自身の合コン武勇伝(?)までを語ってくれた。

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――昨今、入門希望者が増えているそうですが、その理由は何だと思いますか?

貞奈 先輩から聞いた話によると、東日本大震災の直後も入門希望者が増えたんだそうです。そして今回はコロナ禍。社会不安になる出来事があると、なぜか講談師という職業が人気になるらしいです。

――安定を求めて、というような世界ではないような気はしますが…。

貞奈 巣ごもり中にYouTubeを見るなどして、初めて講談に接した方が多いんです。私たちも色んな動画をたくさん配信したので、興味を持っていただけたんじゃないかと思います。

――現在、女性の講談師は何人くらい?

貞奈 講談師の協会は現在大きく分けて3団体あり、私が所属する講談協会は全部で50人くらい。男女比で言えば6割以上が女性だと思います。

――女性の方が多いんですね。となると、恋愛事情も気になる。講談師同士で付き合うようなことは?

貞奈 落語家さんはそういうことがよくあるらしいですね。「あいつとあいつは付き合ってて、今度はこいつと…」みたいな。でも、講談師の世界では99%ないです(注:講談師同士でご夫婦になった実例はあり)。講談師は真打ちになると「師匠」ではなく「先生」と呼ばれるんですね。ちょっと身分が違うというか、侍の精神みたいなものが息づいてる。なので、そんな不純なことをしたら先生に叱られる、という教えがきっちりとできてます。

――貞奈さんも当然…。

貞奈 はい。同業者とは一切。でも、講談師以外との合コンはたくさんやりましたよ(笑)。

――それは聞き捨てならない。武勇伝を聞かせてください。

貞奈 会社員だった時代から、婚活のつもりでやっていたんです。なぜか幹事役を頼まれることが多くて、嫌いじゃないからセッティングをするのですが、そのうち可愛い子を探してハロウィンイベントに出かけてスカウティングまでしたりして(笑)。もちろん、あわよくば自分にも彼氏が…と思っていましたが、幹事はやはりモテないですね。そのうち30代になって、男性たちのリクエストは「年齢は25歳以下で」とか平気で言ってくるんです。今思うと、あの時代は不毛でしたね。

――講談師になったのはどういう理由から?

貞奈 大学時代はアナウンサーに憧れていましたが、夢破れて卒業後はマーケティング会社に就職しました。広告の世界には興味があったのですが、しゃべる仕事、自分を出せる仕事をしたくなりナレーターになろうと会社を辞めました。そこで所属した会社ではCMをはじめ、声の仕事をたくさんさせていただきました。そんなとき、一龍齋貞心先生の高座を拝見して「頭の中に絵が浮かぶ講談ってかっこいい」と思い、入門を直談判。鞄持ちから始めさせていただきました。

ドンピシャな人に出会えた!

一龍齋貞奈
一龍齋貞奈(C)週刊実話 

――見習い期間を経て、15年6月に入門。16年4月より前座となり、22年4月に晴れて二ツ目となったわけですが、合コンに明け暮れていたご自身の春はまだなのでしょうか?

貞奈 実は…今年2月に結婚させていただきました。

――それは大スクープ。詳しく聞かせてください。

貞奈 なかなか理想の相手に巡り会えなかったときは、とにかく条件が厳しかったんです。「年収は1000万円以上」「身長174センチ以上」「大卒で実家は東京近郊、野球よりもサッカー好き」…といった具合。そしてある日、ドンピシャな人に出会えたんです。見た目も悪くないのに、なぜか生理的に受け付けなかったんですね。なんで? と考えた結果、私が本当に求めているのは「条件」なんかじゃないんだと悟りました。誤解を恐れずに言えば、「性的に魅力がある親友が欲しいんだ」って。親友と呼べる人と結婚したい、でも、夫婦になったらそういうのがなくなると聞くじゃないですか。それも嫌だな…そんな気持ちです。分かってもらえますかね!?

――な、なんとなく…。まあ、とにかく新婚さんということですね。ご主人のお仕事は?

貞奈 弁護士をしています。

――それは優良物件。待てば海路の…でしたね(笑)。

貞奈 実は彼、コロナ禍で暇を持てあましていた私に裁判の傍聴を勧めてくれたんです。「刑事事件は興味深いから見てみたら」って。実際に通ってみると、色んなケースが出てきて寄席みたいだなぁとハマりました。地方で仕事があるときは、暇を見つけて近くの裁判所に通っています。新作を作るときの何かしらの参考になればいいなと…。

――本業の講談ですが、ネタが飛ぶこともちょいちょいあるんだとか?

貞奈 ありますね。先日も、慣れてるネタだから大丈夫だろうと高座に上がったら、うっかり終わりの方のくだりを口走っちゃったんです。「まずい、あと30分もあるのに、このままでは5分で終わっちゃう」って。

――どうしたんですか?

貞奈 普通だったら、気づかれないように話をさりげなく戻すんでしょうけど、私の芸は正直が取り柄なので(笑)、「間違えちゃいました。一旦忘れてください」と言って最初からやり直します。ネタが飛んじゃったとき? そのときは張り扇をパンパン打ちながら、思い出すまで間を持たせます。これは講談師がみんなやってることですから(笑)。

――新作はどんなのをやられてるんですか?

貞奈 YouTubeにもアップしているのですが、すしざんまいの社長をモデルにしたお話で、「すしざんまいde海賊退治」といいます。つい最近は、今度新紙幣の図柄になる津田梅子さんの物語を作りました。津田塾大学を作り、生涯独身で過ごされた津田さんを、資料だけを頼りに作った力作です。笑わせどころもちゃんとありますので、機会があったらぜひ足をお運びください!

◆いちりゅうさいていな
1986年11月21日生まれ。静岡県裾野市出身。公式サイト「一龍齋貞奈のきいて〜な!」(https://teina1631.com/)、X(旧ツイッター)@1017koudan

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