蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~大谷翔平と子供の野球離れ

12月1日に「ユーキャン新語・流行語大賞2023」年間大賞の発表が行われる。


流行語大賞には毎年、野球関連の言葉が1つはノミネートされている印象だ。今回も阪神タイガース・岡田彰布監督が言ったリーグ優勝を意味する「アレ」、ラーズ・ヌートバー選手が披露した「ペッパーミル・パフォーマンス」、そして大谷翔平選手がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦の直前、チームメートの前で発言したという「憧れるのをやめましょう」が入っている。


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大谷選手は2021年に「リアル二刀流/ショータイム」で年間流行語大賞に選ばれ、22年には「大谷ルール」がノミネートしており、3年連続で流行語大賞に絡んでいる。早いかもしれないが、24年も何かしら大谷選手関連の言葉がノミネートするだろう。


それで言うと、もう「大谷翔平」が流行語でいいんじゃないか。彼には悪いイメージがまったく無いし、多くの人に活力を与えている。そのうち、調子がいいときのことを「大谷翔平」って言うようになるかもしれない。「最近は大谷翔平なんだよ」とかね。


そんな大谷選手が、全国の小学校(約2万校)に3個ずつ、合計で約6万個の野球グローブを寄付することを発表した。仮にグローブが1個1万円だとすると、単純計算で総額6億円。年収が数十億あるといっても、これだけの大金をポンと出すのは、ものすごいことだよ。俺もプロレスを広めるために、レスリングパンツでも配ろうかな(笑)。

気軽にキャッチボールもできない…

今回、寄付されるグローブは、ニューバランス社製の〝大谷モデル〟。これは小学生だけじゃなく、大人のファンも欲しがるだろうね。レプリカでも売り出したら、実際に使わないオジサンたちがたくさん買って、家に飾っておくと思うよ。今回はボランティア企画だけど、そう考えると、メーカーとしてもすごくいいプロモーションになっている。

それにグローブを寄付することは、子供たちが野球に触れるきっかけにもなる。野球は人気のあるスポーツとはいえ、最近は〝野球離れ〟が起きているからね。


それは〝キャッチボール禁止〟の公園が増えている影響もあると思う。うちの近くにある大きめの公園では、キャッチボールやサッカーボールを蹴ることが禁止されている。そのせいか、公園で遊ぶ子供たちの姿をほとんど見かけない。一方で、高齢者たちが朝からゲートゴルフをやっているのはよく見るよ。


昔だと道端とか空き地でも、子供たちがキャッチボールをしている姿をよく見かけた。俺も小さい頃、親父や兄貴とキャッチボールをした思い出がある。


それと比べると、俺は自分の子供と1~2回しかキャッチボールをしたことがない。それも子供が「やりたい」と言いだしたわけではなく、俺が東北楽天ゴールデンイーグルスの始球式に出ることになり、その練習で息子に相手をお願いした。それだけ、気軽にキャッチボールができなくなっているんだよ。


最近はラグビーやバスケなんかも注目されているし、少子化の影響もあってか、いろんなスポーツで子供の取り合いが起きている。今回、大谷選手がグローブを寄付することで、全国の子供たちが改めて野球の魅力に気づきそうだ。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。