(画像)Michael Nivelet /Shutterstock
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配送業者が廃業危機…働き方改革でドライバーも失業へ!?

物流業界が悲鳴を上げている。来年から施行される「働き方改革」による労働時間の上限規制に、物流会社が頭を抱えているのだ。


「来年4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間までに制限されるため、物流が滞る『2024年問題』が目前に迫っています。制限を超過した業者には6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられるが、現状でも人手不足なのに労働時間が短縮になれば、運べない荷物が大量に滞留するでしょう」(物流会社幹部)


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物流業界はネット通販による「宅配特需」で新規参入が相次いだものの、細かな時間指定や再配達義務などドライバーの負担が大きく、「夜10時過ぎまで配送しても荷物がさばけない」(配送業者)ことも多いという。


そのため、長距離ドライバーの中にはトラックの後部にある寝台で車中泊する人もおり、繁忙期は睡眠時間が3〜4時間しか取れないこともザラ。しかし、給料は大半が「歩合制」のため、多くのドライバーが労働時間の短縮を歓迎していないという。

コスト増加でさらに業績悪化か

一方、中小の配送会社は、残業増加によるドライバーの人件費や燃料価格高騰で配送が増えても儲からない状況。しかも、これに加えて価格競争やインボイス制度導入に伴うコストの増加が首を絞め、今後は配送業者の倒産が急増しそうな雲行きなのだ。

「また、かつて1000万円といわれた長距離ドライバーの平均年収は、近年では430万円にまで下がっている。労働環境の悪化に加え、今以上に収入が減るなら辞めるしかないと漏らすドライバーも少なくないのです」(経済評論家)


闇残業やドライバーの大量離職が続出し、さらに業界環境の悪化に拍車がかからなければいいのだが…。