岸田政権“来年4月退陣”か!? 国民との溝を埋められず支持率低下…
岸田政権が苦境に陥った。起死回生の所得税減税が国民から袋叩きにあい、内閣支持率は20%を割り込む寸前。岸田首相は政権維持を諦めず、愚直に経済対策を進める構えだが、自民党内は退陣を見据えて、さまざまな動きが出始めていた。
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「一つ一つ成すべきことを積み上げていくしかない」
時事通信の世論調査で支持率が21%にまで下落したことが判明した11月13日、岸田文雄首相は周囲にこう話し、落ち込むそぶりは見せなかった。
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だが、足元は総崩れの様相を呈している。朝日、毎日、読売各新聞に共同通信と、ほぼすべての大手メディアが20%台の支持率を伝えたからだ。
もっともこの間、首相は3枚のカードを切った。9月の内閣改造・自民党役員人事、10月の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求、そして同月下旬の所得税と住民税の減税だ。
しかし、人事は不発に終わり、解散命令請求はパレスチナでの戦闘激化にかき消され、減税は国民から反発を買うなど、すべて裏目に出てしまった。
「政策はきっちりやっているのに、なぜ上向かない」
首相は先の数字が伝わった際に、こんな愚痴もこぼしたという。
確かに、政府は「新しい資本主義」政策の下、脱炭素やデジタル化などの経済政策を積極展開。少子化対策や防衛力強化も打ち出し、成果も上げている。経済指標を見れば、2023年度の名目成長率は5%、税収は8〜9兆円の上振れを見込むなど堅調だ。物価上昇の勢いも収まりつつある。にもかかわらず、ここまで国民と溝ができてしまったのはなぜか。
政府関係者が話す。
「とにかく首相が忙しすぎる。何でも自分で決めるのはいいが、周囲がフォローできていないため、打ち出しの際に説明やアピールが不十分になっている。そこは官邸内の政治チームがきちんと影響を考えるべきだが、官僚チームとの連携が悪く、後手に回ってしまっている」
税金滞納で批判を浴びた神田憲次財務副大臣の更迭がそのいい例で、当初、松野博一官房長官や村井英樹副長官らには何の危機感もなく、続投させる構えだった。だが、首相側近で前副長官の木原誠二党幹事長代理が業を煮やし、11月13日朝、官邸に入り「更迭するよう首相を説き伏せた」(政府関係者)のだ。
また、官邸は党側との連携も悪い。
「一臨時国会で野党の追及を受ける予算委員会を2回もやるのは異例だ。臨時国会の開会日に所信表明を行う段取りも組んでいたのに、野党に押し切られてできなかった」
こう漏らす官邸関係者は党国対経験のない村井官房副長官に対する不安を隠さないが、党側へのグリップが利いていない最たるものが「衆院解散の年内見送り」報道だった。
事情に詳しい自民党関係者によれば、首相続投の可能性を生む年内解散の芽を摘みたい茂木敏充幹事長が、懇意にする朝日、読売、NHKの記者にリークし、11月9日の報道につながったという。
「これで岸田首相は『解散できない総理』とのレッテルを貼られ、党内での求心力を一気に落とした。後で事情を知った首相は、『茂木の野郎、許せねえ!』と大変な剣幕だったのです」(同)
衆院選は「7月14日」!?
ちなみに、今や政界関係者の誰もが岸田政権は厳しい局面に入ったとみているが、当の首相は「まだ政権運営に強い意欲を持っており、来年9月の党総裁選に向けて政権浮揚させるチャンスが必ずあると考えている」(党関係者)という。先に触れたように、物価上昇で実質所得はマイナスなものの、民間経済は好調だ。来年の春闘に向け、経団連も12月に示す春闘基本方針に「構造的賃上げに貢献する」と明記する方向で、今期並みかそれ以上の大幅賃上げを達成できるとの予測も目立つ。
加えて、臨時国会を通じてようやく党側との態勢が整ってきたこともあり、官邸は「愚直にタマを打ち返していくことで、支持率は下げ止まる。春闘の成果が目に見えるようになれば、国民の信頼は取り戻せる」(政府関係者)と期待しているようだ。
そうした背景があるためか、首相は11月22日夜、東京・東麻布のうなぎ料理店『五代目 野田岩 別館』で、地元・広島の自民党県議団幹部と会食。「不退転の決意で頑張る。春から夏になれば勝負どころがやってくる」と話したという。
ここで言う「勝負どころ」とは「来年6月」のことに他ならない。
「賃上げ効果とボーナスが出る6月に減税すれば家計の可処分所得が増えたことを、強く実感してもらえる。そのときに勝負するということだ」(岸田派幹部)
また、同幹部によれば首相が照準を合わせる次の衆院解散のタイミングこそが6月であり「今後、そこに向けて政治日程を組んでいくのは間違いない」という。
「首相は長期政権にしたい思惑を持ち続けている。衆院選で負けなければ、その後の総裁選で再選できると考えていることから、現在、想定される解散日程は6月下旬。投開票は東京都知事選との同日選も見込み、7月14日か21日が濃厚とみられている」(同)
だが、この楽観的なシナリオはどこまで現実味があるのか。過去30年、内閣支持率が20%を切ってから再浮上した政権は一つもない。しかも閣僚や副大臣らのスキャンダルがこの先も出ないとは限らない上に、東京地検特捜部による自民党5派閥のパーティー収入の不正会計疑惑に対する捜査が進んでおり、展開次第ではさらに政権基盤を揺るがしかねない状態なのだ。
進む捜査に〝戦々恐々〟
別の自民党関係者によると、11月以降、連日のように各派の会計責任者や事務責任者らが任意の聴取を受けており、中には「ショックで半狂乱になった事務員もいる」という。政界関係者が語る。
「捜査のターゲットは安倍派だ。同派はパーティー券の売り上げに応じて議員にキックバックを出しているが、それが裏金になっている。派閥事務所に家宅捜索が入れば最低でも在宅起訴は免れない。臨時国会が終わる12月中旬以降がヤマ場になるはず」
また、その12月には党税調で所得税減税の議論が佳境を迎える。少子化対策の財源として医療保険に上乗せ徴収する案をめぐっても紛糾は免れない状態なのだ。
「春闘までは何が何でも堪え忍ぶ」
11月13日、官邸入りした木原氏に首相がこう漏らしたとの情報が永田町を駆け巡ったことがあったが、図らずも岸田政権の先行きはこの冬、そして春闘、予算成立を迎える春先の動向にかかっているともみられているのである。
〝岸田おろし〟とも言える水面下の動きを伝えるのは、首相と距離を置く菅義偉前首相に近い無派閥議員だ。
「麻生太郎副総裁と茂木氏らは引き続き主流派にとどまるため、24年度予算成立を花道に首相を来年4月に退陣させようとしているウワサもある。臨時総裁選なら党員、党友による投票がなく『人気のない茂木氏でも勝てる。ダメでも岸田派の上川陽子外相ならいける』との見立てが成り立つからだ」
さらに、こうした展開に対抗するかのこどく、11月9日夜には菅氏と二階俊博元幹事長ら非主流派の主要メンバーが、都内の日本料理店で会合を持った。
会合に出席した議員は「来年の夏まで政権を延命させるというのが、非主流派の基本方針。そうすれば党員、党友を含めたフルの総裁選に持ち込める」と語るが、菅・二階連合の〝持ち駒〟の1人でもある石破茂元幹事長は、早くも総裁選に意欲満々。かつて石破派で官房副長官候補とされた平将明元内閣府副大臣と今夏に訪韓し、関係を確認する傍ら官房長官候補の齋藤健前法相とも連絡を取り、勢力の再結集に動いているのだ。
もちろん、ポスト岸田をめぐる〝暗闘〟はこれだけではない。
「小泉進次郎元環境相は、菅氏肝いりのライドシェア超党派議員連盟で世話人となり、高市早苗経済安全保障担当相は勉強会を立ち上げた。特捜の捜査に怯える安倍派では、実質オーナーの森喜朗元首相の意向を受けて『会長・萩生田光一政調会長、総裁候補・西村康稔経済産業相』という〝双頭体制〟への移行が進んでいる。また、同派では展開次第で福田達夫元総務会長が自身の勉強会メンバーらで脱藩・旗揚げの機会をうかがっていると評判です」(自民党ベテラン議員)
前出の岸田派幹部は「〝ポスト岸田〟候補は、みな力不足。野党もバラバラで政権を倒す力などない。12月をしのげば局面は変わる」と話すが、岸田首相はこの難局を乗り切れるのか。
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