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『オヤビッチャ&シラコダイ』東京都三宅島/伊ヶ谷港産~日本全国☆釣り行脚

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

「毎週読んどりまっけど、なんや最近ドブの雑魚やら訳の分からん巻貝なんぞ釣って、ちっとも面白ありまへんなぁ」

先日、知人にこのような苦言をいただきました。「たまにはバチッと大物でも釣らんと、読んでるこっちもグッときまへんがな。こんなん続いたら、あんたいずれクビんなりまっせぇ」と、そこまで言われては、しみったれのワタクシとしても奮起しないわけにはまいりません。早速、チケットを手配し、大物釣師に人気のある、東京都は三宅島へと向かうことにしました。

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東京都とはいえ、都心から南に約180キロメートル。太平洋に浮かぶ離島ゆえ大物の実績は申し分なく、桟橋や堤防からカンパチやシマアジ、イシダイなどが狙える夢多き島と言えます。ちなみに出航地となる竹芝桟橋から三宅島までの所要時間は6時間ほど。ちょっとした船旅です。そして出航は22時30分で到着は早朝の5時となります。

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

ちょっと話はそれますが、かつては多く存在していた夜行列車も、現在ではそのほとんどがなくなり、夜汽車の旅という楽しみがなくなりました。また、かつては多く存在していた食堂車も現在はなく、最近ではワゴン販売すらもなくなる傾向にあります。そんな中、この船旅では船の中に食堂があり、また、起きたら別世界という夜行の旅が楽しめるという点では、アナログな夜行の旅が楽しめる貴重な交通手段と言えるのかもしれません。

ドラの音とともに定刻通りに出航した大型客船〝橘丸〟は夜景のきらびやかな東京港内を滑るように進みます。東京港から東京湾、そして太平洋と外海に出るにつれ多少の揺れが生じるため、早めに船内の食堂で夕食を済ませ、かつての583系電車型寝台を彷彿とさせる蚕棚のようなベッドに潜り込むことにしました。

石物狙うも小物に惑わされ

朝の船内アナウンスで目を覚ますと、もう三宅島です。当日の到着港は錆ヶ浜港となり、下船後は桟橋で待つ町営バスでおよそ20分。今回の釣り場となる伊ヶ谷港に到着です。平日とあってまだ暗い桟橋に釣り人の姿はなく、先端付近にて、のんびりと準備を進めます。

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

今回の狙いは、ブッ込みでイシダイやイシガキダイといった石物です。明るくなるのを待って、アサリの剥き身をエサに仕掛けを打ち込みますが、さすがは離島の桟橋。仕掛けを入れるとすぐにアタリがあり、エサが取られます。あまりのエサ取りの多さに、桟橋から海を覗き込んでみると、熱帯魚のような派手な小魚がたくさん群れています。あら、旨そうなのがいっぱいいるじゃないの…。

オヤビッチャ
オヤビッチャ 日本全国釣り行脚(C)週刊実話

ブッ込み竿はそのままに、新たに安物の磯竿を取り出し、サビキ仕掛けをセット。ハリの1本1本にエサのアミエビを付けて仕掛けを入れると、すぐに竿先が絞り込まれてオヤビッチャがハリ掛かりです。こりゃ楽しいわい。

 

シラコダイ
シラコダイ 日本全国釣り行脚(C)週刊実話

一般的には、エサ取りの外道とされるオヤビッチャも、離島サイズと言える20センチ近い良型ゆえ、引きはなかなかです。釣り上げては魚を外し、再び数本のハリにエサを付けて仕掛けを入れる…そのうちにハリから落ちるアミエビが寄せエサ効果となったのか、水面下には大量の群れとなり、シラコダイも交じってほぼ入れ食いです。

エサ取り外道も絶品の刺身

シラコダイ
シラコダイ 日本全国釣り行脚(C)週刊実話

そんな折、先の知人から「どないでっか?」と電話があり、型のよいオヤビッチャが入れ食いの旨を報告。すると、「三宅まで行って何してんねん」と呆れた様子で電話が切れました。イカンイカン、今回は大物を狙うために三宅島に来たのに、つい、いつもの〝しみったれ〟のクセが出てしまいました。サビキ釣りを止め、再びブッ込み釣りに専念することにします。

さて、先にも述べたとおりオヤビッチャ、シラコダイなど、一般的にはエサ取りとして邪魔者扱いされるこれらの魚は、決してまずいわけではありません。というより、型のよいオヤビッチャなどは、むしろ旨い魚の部類に入るかと思われます。

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

ということで、シラコダイは塩焼き、オヤビッチャは刺身でいただいたところ、シラコダイは身が薄いゆえに、食べ応えこそ物足りないものの香ばしく美味。そしてオヤビッチャ。肉付きよく厚みのある魚体の刺身は、モチッとした食感に適度な脂乗りで、甘さが感じられる白身は絶品です。むしろ食べるためだけに釣るのであれば、ひたすらオヤビッチャ狙いでよいのではなかろうか、な〜んて言うと件の知人に怒られてしまいますので、真面目にブッ込みで石物を狙いまーす。果たして釣れたのかは、また次回。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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