(画像)yu_photo/Shutterstock
(画像)yu_photo/Shutterstock

柿沢前法務副大臣“年内逮捕”へ!? 萩生田氏との遺恨の“江東区長選”が要因か

岸田政権は不倫、選挙戦での現ナマ乱舞、悪質な税金滞納と〝不祥事の火薬庫〟と化しているが、その統率力の無さは、今に始まったことではないようだ。実は、江東区長選をめぐる柿沢未途衆院議員の現金配布騒動の裏に、自民党を二分する〝遺恨〟が渦巻いていたのである。


※※※※※※※※※※


4月に行われた東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で、木村弥生前区長を支援した自民党衆院議員・柿沢未途前法務副大臣の「年内逮捕説」が、永田町を駆け巡っている。


【関連】“変態”が安倍派のトップに!? 「パンツ高木」や「美人図鑑西村」が会長候補の悪夢 ほか

東京地検特捜部は、柿沢氏側が区長選前に区議らに現金を配っていたことを突き止めており、「Xデーが近い」とみられているのだ。過熱した区長選の裏で一体、何が起きていたのか――。


区長室など木村氏の関係先に家宅捜索が入ったのは10月24日。このとき、自民党幹部は、区長選が行われてから約半年も経っていたことに、妙な違和感を覚えたという。同幹部は当時こう語っていた。


「特捜の狙いが区長のはずはない。これは萩生田光一政調会長による柿沢潰しだ。慎重に捜査を進めたから、ガサ入れが半年も後になったのだろう。萩生田サイドは、特捜部への情報提供に勤しんでいたのでないか」


案の定と言うべきか、その後、柿沢氏をめぐるニュースが世間を騒がせたが、事件の契機となった選挙中の違法な有料ネット広告の掲載は、柿沢氏の勧めによるものだった。


また、柿沢氏は10人以上の区議に1万円〜数十万円の提供を申し出ており、受領した区議がいたことも分かっている。この現金に区長選での投票依頼や選挙運動の謝礼の意味合いが含まれていれば、買収容疑で逮捕される公算が高いのだ。

萩生田氏は煮え湯を飲まされた!?

もっとも田舎ならまだしもメディアの注目度も高い東京の区長選がここまで過熱した理由は、裏に〝醜いつばぜり合い〟が渦巻いていたからだとみられている。

自民党関係者が言う。


「この区議選で自民党都連が組織を挙げて支援した候補は、4月に死去した山崎孝明元区長の長男で元都議の一輝氏。都連会長の萩生田氏は懸命に彼を支え、柿沢氏にも支援を働きかけたが、柿沢氏はあいまいな態度を取り続け、木村氏を支援して当選に導いた。メンツを潰された萩生田氏は『許せない!』と怒りをあらわにしていたが、もともと2人には過去に遺恨があったのです」


柿沢氏は今でこそ自民党議員だが、以前は民主党、みんなの党、維新の党、希望の党などを渡り歩いてきた〝政界渡り鳥〟。そのため、自民党内の評判はいまだ芳しくないが、遺恨が生じたのは自民党に入党する前の無所属時代だった。


「当時、柿沢氏は衆院東京15区(江東区)で、自民党の秋元司元衆院議員とシーソーゲームを繰り返していたが、その秋元氏が2019年にカジノを含む統合型リゾート事業をめぐる汚職事件で東京地検に逮捕された。これを好機とみた柿沢氏は21年10月の衆院選に、入党含みの自民公認で出馬する意向を同党に打診したのです」(全国紙政治部記者)


ところが、当時、自民党都連の総務会長をしていた萩生田氏らがこれに反発。別の人物を擁立したものの結局調整がつかず、共に2人は推薦を受けて無所属で戦うことに。その熾烈な選挙戦で当選をもぎ取ったのが、柿沢氏だったのだ。


「このときの柿沢氏の勝因は父、柿沢弘治元外相の地盤が強固だったこと。また、自民の推薦も効力を発揮したが、これが得られたのは谷垣禎一元自民党総裁が柿沢氏の母校・麻布高校の先輩で、谷垣グループの代表世話人で選対委員長だった遠藤利明衆院議員が承諾したから。柿沢氏に煮え湯を飲まされた萩生田氏は、怒り心頭だったのです」(同)


要は、この際に柿沢氏と萩生田氏の間には決定的な軋轢が生じ、その〝遺恨試合〟が今回の江東区長選だったというわけなのだ。

岸田政権の危機にも…

ただ、水面下で現金が飛び交うほど過熱した要因には、同区長選が分裂選挙だったという側面もある。柿沢氏と萩生田氏だけでなく、自民党の保守とリベラルが二手に分かれ、激しい選挙戦を繰り広げたことが火に油を注いだとみられているのだ。

「山崎一輝氏を支援した萩生田氏は故安倍晋三元首相の最側近だが、『安倍チルドレン』でもある都連会長代行の丸川珠代参院議員も応援に回り、出陣式では『自民推薦で戦うのは山崎氏1人』と絶叫したほど。この一輝氏陣営の保守系議員の布陣に対し、木村氏側は柿沢氏のほかに野田聖子元総務相、稲田朋美元防衛相が支援に回ったのです」(前出・自民党関係者)


ちなみに、野田氏は共産党機関紙『赤旗』のインタビュー記事に登場したこともある古賀誠元幹事長の寵愛を受けてきたリベラル系議員。一方、稲田氏は安倍派に属し、安倍元首相から「自民党のジャンヌ・ダルク」と評されたが、同氏の死後はリベラルに転向したのか、国会で成立したLGBT理解増進法の旗振り役として活躍。今や萩生田氏や丸川氏が所属する安倍派内では、裏切り者扱いだ。そのためか、両派の激突は告示前から「保守分裂で大激戦」と評判だったのだ。


政治部デスクが言う。


「柿沢氏と萩生田氏が対峙した江東区長選は、遺恨含みの安倍派vsリベラル派という代理戦争に発展したが、これが柿沢氏を違法行為へと走らせた可能性も高い。特捜の捜査が同氏に向けられた裏に萩生田氏が絡んでいるかは不明なものの、萩生田氏がほくそ笑んでいるのは事実だろう。木村氏の辞任で再び12月10日に投開票される江東区長選も、候補を担ぐ萩生田氏の独断場になる可能性が高いのです」


ただ、柿沢氏が逮捕されれば、岸田政権は万事休す。いよいよ、断末魔の悲鳴が聞こえてきそうだ。