(画像)Karl Panganiban/Shutterstock
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観光客増加もタクシー運転手不足は解消されず!? 苦しまぎれの賃金アップで解消か…

新型コロナが感染症法上で季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行されて以降、コロナ対策も緩和され、訪日外国人観光客が増加の一途をたどっている。タクシーの乗客数も回復傾向にあるが、肝心のタクシー運転手不足が深刻化している。時間外労働が短縮される『2024年問題』も迫り、タクシー業界は頭を抱えているのが現状だ。


5000社余りが加盟する『全国ハイヤー・タクシー連合会』の調査では、タクシー会社で働く運転手は23万1938人(3月末時点)。4年前と比較すると、約20%も減少している。


【関連】「カーナビ使えず…」「目的地聞き間違い」タクシードライバー“超高齢化”に利用者不安感 ほか「タクシー会社で働く運転手の平均年齢は58.3歳(昨年時点、厚労省調べ)です。新型コロナ感染拡大で一時、利用客が激減したことで収入が大幅ダウンしたり、車内感染への懸念から運転手の離職が相次いだ。加えて、高齢化も重なり運転手不足が進んだのです」(交通アナリスト)

首都圏では難しい“ライドシェア”

運転手不足を解消するため、国も規制緩和に乗り出し、タクシーの助手席の前にある運転者証について、これまでは氏名と顔写真を掲示することが義務付けられていたが、8月からはそれを廃止した。

「プライバシーを保護して安心して働ける職場環境を作るのが国土交通省の狙いです。この対策で、女性運転手を増やしたい考えを持っている。しかし、労働時間を短縮する2024年問題が差し迫っており、時間外労働手当をあてにしていたタクシー運転手の収入減は必至。ますますなり手はいなくなりますよ」(同)


一般ドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ『ライドシェア』が国会で議論されているが、タクシー業界は反対の立場だ。


「ライドシェアについては、交通の足がない地方の自治体では導入する必要性はあると思います。しかし、首都圏では運転手を募集しても集まらない現状から、ライドシェアをやる人は少ないと思います。安全面の確保などの問題もあります。運転手不足を解消するには、まずは賃金アップするしかありませんよ」(東京・江東区のタクシー会社役員)


労働環境の改善が先決だ。