蝶野正洋 (C)週刊実話Web 
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蝶野正洋『黒の履歴書』〜岸田首相の現在の呼び名は…

岸田内閣の支持率が、各報道機関で軒並み発足以来最低を記録している。さらに国会では、岸田首相がSNSで「増税メガネ」と揶揄されていることが指摘され、首相本人が「いろいろな呼び方があるのだなと思っております」などと答弁した。


岸田首相には他にも「バラマキメガネ」や「ミスター現状維持」、検討ばかりする「検討使」などのあだ名もあるそうだ。


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まあ「増税メガネ」は、ちょっとストレートすぎてあまりセンスがよくないね。こういうものは、言いにくいことをうまく言い換えるのがいいと思うんだよ。プロレス界で言えば、藤波さんがたまにやってしまう不思議な言動のことを、「ドラゴンマジック」と呼んだりとかね(笑)。


俺にはあだ名というか、よく使われるキャッチフレーズに「黒のカリスマ」というのがある。他にもいろいろあって、だいたい「黒」が付くんだけど、新日本プロレスの〝真夏の祭典〟と呼ばれている『G1 CLIMAX(ジーワン・クライマックス)』の印象が強いから、「夏男」「ミスターG1」とも呼ばれた。


あとは、「極悪バタフライ」なんていうのもあったな。これはテレビ中継のときに、辻よしなりアナウンサーが勝手に考えて言っていたんだよ。だからか、これはあんまり広まらなかったね(笑)。


他のフレーズも、別に俺が言い出したわけでなく、マスコミが勝手に呼んでいたものが定着していった。だから俺自身、実は全然ピンときていないのも多かった。

大根役者の棒読み演技

俺、武藤さん、橋本選手の3人を「闘魂三銃士」と言っていたのも同じ。会社が勝手に言い出しただけだから、自分たちのことだと意識していなかった。呼ばれ続けて何年も経って、ようやくなじんだような感覚だね。岸田首相は「増税メガネ」が嫌だったら、なじんでしまう前にイメージを変えたほうがいいよ。

それよりも、俺が岸田首相に対して気になるのは、ロボットみたいな答弁だよ。演説や会見だけでなく、質問に答えているときも、書かれた文章をそのまま読んでいるだけ。一つ一つ言葉を区切って強調したり、妙な間を空けたりするのが不自然なんだよ。


自分の言葉じゃないし、気持ちも入ってないから、内容がまったく伝わってこない。大根役者の、棒読み演技を見ている気分になる。


昔、同期レスラーの野上彰がAKIRAとして役者に転向して、その初舞台を見に行ったことがある。劇団の役者さんたちは、みんな自然な演技なんだけど、そこにAKIRAが出てくると明らかに浮いてしまっていた。役に入りきれていないからか、AKIRAだけ「一生懸命に演技しています」という雰囲気になっていたんだよ。


プロレスでも、戦っている選手が自分のいいところを見せようとしているのはダメ。試合に入り込んで、無我夢中になるくらいじゃないと、見ている人に気持ちが伝わらないんだよ。


岸田さんもそんな感じなんだよね。総理大臣という役を、ぎこちなく演じているようにしか見えない。だから、国民に何も伝わらないし、増税しかやっていないと感じてしまう。


センスはいまいちだけど、今の岸田さんには「増税メガネ」くらいがちょうどいいのかもしれないね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。