監督・脚本/ボー・ヴィーデルベルイ
出演/カルル・グスタフ・リンドステット、スヴェン・ヴォルテル、トーマス・ヘルベルイ、ホーカン・セルネル
発売元/株式会社スティングレイ
今回は劇場公開作品ではなく、私が本格的字幕翻訳家としてデビューした作品を紹介したいと思います。
DVDが主流のときは、よく特典としてコメンタリーが付いてましたが、最近は目にする機会が減りました。そうした中、1976年の祝日、スウェーデンの首都ストックホルムが一つの大きな撮影現場と化した伝説の作品が収められている『刑事マルティン・ベック 超・特別版』が発売されました。スウェーデンでマルティン・ベックと言えば誰だって知っています。今現在も制作されている大人気の刑事ものシリーズで、誰がベックを演じるかで毎回話題になるくらい。
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今作でベックを演じるのは、日本で例えるならば志村けんさんみたいな国民的な知名度を誇るコメディアンのカルル・グスタフ・リンドステット。ベック作品の中でも最高傑作だと、今もなお語り継がれています。本編の字幕は落合寿和さんが担当し、私は字幕監修。そして何本かの特典映像の翻訳も私が担当しています。
撮影現場は実在する警察署
映画ならばスクリプト(台本)があって、それを見て日本語字幕を書きますが、コメンタリーにはスクリプトはない。ボー・ヴィーデルベルイ監督の南の地方の強い方言や、年齢を重ねた出演役者の話すクセなど、記憶に残っていないシーンの数々を見ながら「覚えていない」の表現にどうバリエーションを持たせるか。1年半、仕事の合間に訳しては、データが一度、すべて消えたりもし、自分にウンザリしながらも、もがきながら完成させた特典映像をぜひ見て欲しい。
ある男性が入院中にド派手に殺されます。驚いたことにその被害者は警部。でも悪徳警官だったことが徐々に明らかになり、少しずつ過去のことが分かっていく。登場人物のみんなが怪しく見える中、犯人は? もちろん、警察は必ずしも良い人たちばかりではありません。そして、単にデモに参加をして捕まっている若者のシーンもすべてが伏線となっています。
撮影現場は実在する警察署。本物の警官に席を外してもらい、そのまま撮影。周りにいる警官も本物で、素晴らしいアドリブを魅せる、本来の映画の見方をも教えてくれる1本。まずは本編を見てから特典を見て、もう一度本編を見ると別の世界観が広がります。
芸術の秋には、古き良き映画を再発見するのも素敵かも!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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