まさに1頭だけ次元が違う、であった。直線で余裕の抜け出し…堂々のレコード勝ちで、2着に付けた着差2馬身半以上の大圧勝であった。もちろん、天皇賞・秋のルメール大将イクイノックスのことである。先々週の菊花賞勝ちのドゥレッツァは、ルメール・マジックにやられた! とも言えるが、この天皇賞・秋はタネも仕掛けもないGⅠ5連勝であった! 実際にイクイノックスを負かしているダービー馬ドウデュースが当然のように2番人気になったが、直前に武豊が落馬負傷し、戸崎に乗り変わったのがアヤとなったのか、7着に敗退。先週の文中で「海外2敗や今春のドバイ取り消し後、半年以上の休養やらで、順調さを欠いた印象は拭えない」と懸念した通りの結果となった。
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その武豊からかつての主戦・藤岡佑に手が戻るジャックドールにしても同様に「東京の重賞実績に欠けるし、鞍上変更も強調材料とは言えない。(中略)2ケタ番枠を引いたのもイヤな予感」と書いたが、前半1000メートル、57秒7の暴走モードで行っては最下位に沈むのも当然だろう。〝春・天〟の覇者なのに6番人気と〝過小評価〟された横山武ジャスティンパレスが2着、札幌記念圧勝の川田のプログノーシスも最後に3着を確保した。久しぶりにそんなわが予想(『⑦から⑤⑥⑨厚めで』)がピタリとハマり、馬連1330円、3連複2180円を本線で取れて、万々歳の秋の夕暮れであった。
さて〝史上最強馬〟の次の予定は、牝馬3冠馬のリバティアイランドも出走する予定のジャパンカップで、〝現役最強牡牝馬対決〟となりそう。文字通り〝雌雄を決する〟というヤツだが、この圧倒的強さを見ると、ホームグラウンドだし、年長馬だし、牡馬だしのイクイノックスに比べて、アウェイ、年少、牝馬と条件がやや不利なリバティアイランドだけに、イクイノックスの鉄壁とも言える牙城を崩すのは容易ではなさそう。個人的にはリバティアイランドを6・4で応援したいのだが、現状は6・4、いや7・3でイクイノックス有利だろう。他の馬は眼中にない。この2頭軸で、アメリカまで走ってもそのまま(おいおい)、という史上稀に見るド堅いジャパンカップになる可能性は濃厚だ。〝手負い〟の武豊がドウデュースに改めて騎乗するが、勝負付けは済んだ気がする。
“映画連想馬券”の本命はセラフィックコール
川田、ルメールのリーディング争いは、大将がGⅠも含めた勝ち星を量産して、川田に差をつけてリード。さて今週はといえば、両雄そろって海外遠征なので、国内での争いは来週までお預けとなった。おまけに戸崎も三浦も渡航するので、国内戦のジョッキーの顔ぶれに、やや地味感を覚えるのは私だけだろうか?
そんな晩秋のGⅠ戦線のハザマである今週は、GⅡのアルゼンチン共和国杯もあるが、ここは思いっ切り地味なダート重賞のみやこS(GⅢ)を狙ってみたい。大混戦で大荒れ必至? 過去9年(18年はJBC開催のため休止)で1番人気がたった1勝、2番人気は3勝だが、3番人気が0勝と信頼度は低い。1番人気は何だろう? デビューから4連勝中で一気に重賞突破か、のデムーロ騎乗セラフィックコールか? 唯一の3歳馬だし狙い目は十分だが、何せデータがあまり良くない。JRA所属外国人騎手では、ルメールに成績で随分差を付けられた感じもするし、ここらで意地を見せてほしい気もするが…。あとは、重賞初勝利を狙う岩田望アイオライト。昨年人気薄で勝利し、連覇が懸かる和田竜サンライズホープ。昨年の汚名を返上したい坂井ウィリアムバローズ。このレースと相性の良い太秦S上位組の団野タイセイドレフォン、幸メイクアリープ。エルムS2着の斎藤新ワールドタキオン。このあたりの争いか?
さて〝映画連想馬券〟だが、セラフィックコールの〝コール〟から『コールガール』(71年)をチョイス。ニューヨークを舞台に、失踪した科学者の行方を捜す元警官の私立探偵(ドナルド・サザーランド)と女優志願のコールガールとの結び付きを描いたミステリー・ドラマで、ジェーン・フォンダのコールガールぶりが見もの。客に対して感じているふりをしながらさりげなく時計を見るとか、いかにもだったりして…。殺人、性倒錯、歓楽街の実態など〝風俗映画〟としての見どころもいっぱい。
買い目は③④⑭⑮⑯のボックス馬連&3連複! ⑮から馬連のみ⑦⑨へ。内外に寄り気味だが、まっいいか。勝負は来週からだ!
秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。
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