蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~高齢化社会の交通事故

車の運転手が交通事故を起こし、そのまま逃亡するケースが相次いでいる。


あるお笑い芸人は車の運転中、別の車と接触。しかし、事故の対応をせずに現場を立ち去り、当て逃げの疑いで捜査を受けたという。


その数日後には元プロレスラーの金村キンタローが、車を運転中に自転車に乗った女性と接触。救護をせずに逃走した揚げ句、その2分後に停止中の車に追突し、乗っていた2人に軽傷を負わせた。こちらは、ひき逃げの疑いで逮捕されている。


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ドライバーなら誰にでも交通事故を起こす可能性はあるが、その場を離れてしまうのは言語道断。どんなに軽い接触だったとしても、何かにぶつかったら気づくはずだよ。これは運転技術ではなく、人間性の問題。しっかり反省してもらいたいね。


今回の件も含めてだけど、今後もこうした接触事故は増えていくような気がする。


その理由の一つが〝高齢化〟だ。これから歩行者も運転手もお年寄りが増えてくるから、お互いに注意力が衰え、事故が起きる確率は高くなる。自分の感覚を過信しないで、注意することが必要だよね。


加えて〝道路事情〟という問題点も残っている。


都心の繁華街では、車が通って問題ない道路に歩行者が道いっぱいに広がり、ほとんど進めない状態になっている箇所がある。一応、道路の両脇には白線が引いてあって歩行者用の通路になっているんだけど、お店の看板が置いてあったりするから、歩くのは窮屈だったりする。


だからといって、クラクションを鳴らしながら突入するわけにもいかない。注意深くゆっくり進むしかなく、そこで対抗車が来てしまったら、もう大変だよ。なので、事故防止のためには〝歩行者側の意識改善〟も重要だと思うよ。

事故を起こしても絶対に逃げられない

ただ、歩行者よりも意識改善が必要なのは〝自転車の運転手〟だね。道路交通法上で「軽車両」に位置付けられている自転車は、基本的に車道の左側を通行するルールがある。だけど、中には非常に横暴な運転手がいて、車を運転している側としては、ヒヤッとすることが頻繁にある。

例えば、俺が郊外の交差点を走っていた際、自転車が普通に右折レーンに入ってきて、車と一緒に曲がっていったことがあった。3車線ある道路だったから、自転車がじかに右折するのは交通違反。だけど、何台も当たり前のように曲がっているから、この辺りは慣習的にそれが許されているように感じたよ。


ドライバーは、このように〝道路事情の地域差〟にも注意しなければならない。


この前、神奈川県の大和市内を車で走っていたんだけど、一緒に乗っていたマネジャーが「この辺りは自転車レーンがちゃんと表示されているんですね」と感心していた。マネジャーは埼玉県に住んでいるんだけど、埼玉にはまだレーンの表示がされていない道路も多くあるそうだ。


地域、場所、時間で道路事情やルールはガラリと変わる。慣れない道路を運転する際、ドライバーはより注意深くならなければいけない。


そして、今は監視カメラが増え、ドライブレコーダーを搭載している車も多い。事故を起こしても絶対に逃げられないと認識して、救護義務を果たすことを忘れないでもらいたいね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。