岡田彰布監督(65)にとって、日本シリーズの指揮は2005年以来18年ぶり。その05年は千葉ロッテに4連敗と「短期決戦は苦手」の傾向も見られたが、CSもストレート勝ち。「普通にやれば勝てるやん」の岡田采配は冴え渡っていると言っていい。
しかし、気掛かりな点もないわけではない。
「日本シリーズ直前の10月25日、球団OBで女子チームの監督を務めていた上本博紀氏のコーチ復帰が発表されました」(スポーツ紙記者)
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大事な日本シリーズの直前発表もおかしな話だが、不可解なのは、上本氏の肩書が決まっていないこと。打撃、守備、走塁の、どの担当になるのかは「これから検討する」というのだ。
「そうであれば、わざわざ大事な日本シリーズ前に発表しなくてもよいのでは?」
他球団のスタッフもそう言って首を傾げていた。
「岡田監督の意向ですね。上本氏は岡田監督と同じ早大の出身で、4年時に主将を務めた経歴もかぶります。今季、早大出身の大竹耕太郎(前ソフトバンク)をブレイクさせたのも『後輩』を思うところがあったからといわれています」(球界関係者)
今オフ、阪神コーチ陣は大型改造も予想される。水口栄二、馬場敏史の両コーチは岡田監督の要望だったが、あとは球団が決めていた。彼らの頑張りは岡田監督も認めていたが、自身の野球スタイルを代弁できる者が欲しいとも考えていた。
「鳥谷敬氏(42)が入閣するかもしれません。早大出身で、ルーキーイヤーから鍛えられ、岡田監督の性格を知りつくす一人ですから」(同)
岡田監督人事は阪急側の意向
今年の優勝で「影のMVP」といわれているのが、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長兼グループCEOだ。
岡田監督の再登板の仕掛け人であり、阪急電鉄出身の杉山健博氏も球団オーナーに送り込んでいる。
「優勝の胴上げ後、岡田監督を出迎えたのも杉山オーナーでした」(同)
これまで元阪急側の幹部は、タイガースのことには口を挟まなかった。しかし、優勝から遠ざかり、角氏がついに動いたのだ。
「優勝経験のあるOBを登用するしかない」と思ったが、同時に「トップが強硬な姿勢をみせるのは宜しくない」とも考えていた。迷った末に決断した岡田氏復帰。つまり、阪急側の意向が初めてタイガースの監督人事に反映されたのだ。
「もしも、岡田監督が優勝できなかったら、グループ全体のパワーバランスも崩れていました。今季の優勝はタイガースだけではなく、阪急阪神HDも救ったんです」(前出・在阪記者)
阪急と阪神が経営統合して久しい。〝区別はなかった〟との声も聞かれるが、角会長は関西財界にも強い影響力を持っている。
「59年ぶりに関西の球団同士が激突する日本シリーズとなり、大阪府庁と兵庫県庁内に両球団のVパレードを準備するセクションが立ち上がりました。阪神の優勝は、行政にも影響を与えました」(同)
そう考えると、今年の阪神の優勝は意義深く、「球団は岡田監督に反論できなくなってしまった」とも解釈できる。
鳥谷氏の帰還もささやかれるコーチ刷新は、もう誰にも止められない。
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