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蝶野正洋『黒の履歴書』~ドラマ『俺の家の話』撮影秘話

蝶野正洋『黒の履歴書』
蝶野正洋『黒の履歴書』 (C)週刊実話Web

TBS系列で放送されている金曜ドラマ『俺の家の話』にゲスト出演させてもらった。主演は長瀬智也くんで、宮藤官九郎さんが脚本を担当。長瀬くん演じる観山寿一は「ブリザード寿」というプロレスラーだったんだけど、能楽の宗家の生まれで、人間国宝の父親が倒れたことでプロレスを引退して能を継ぐことや、親の介護に直面する…というコメディードラマだ。

プロレスを題材にしているだけあって、長州(力)さんが「長州力」役でレギュラー出演。俺は武藤(敬司)さんと第3話にゲスト出演ということになった。

俺が演じる役は「蝶野正洋」。プロレス界のOBとして、寿一にプロレス復帰を促すという展開だ。

長瀬くんは、この役のために肉体改造したそうで、レスラーらしい体形になっていた。試合シーンも吹き替えなしでやっていて、センスもいいから、すぐにプロで活躍できそうだったね。

武藤さんも自分で団体を持ってる頃だったら、「次のメインイベントにどうかな?」って、すぐにスカウトしてたと思うよ(笑)。

俺が出演したのは全部で3シーン。長州さん、武藤さんと寿一の家に行って復帰を頼み込むという場面。次に、道場で復帰をしぶる寿一が新たなマスクマン「スーパー世阿弥マシーン」のアイデアを披露するくだり。最後は「スーパー世阿弥マシーン」が乱入デビューする試合に、解説として実況席からコメントするというシーンだった。

実際に放送された時間でいうと、俺は5分も映っていない。でも、撮影はそれぞれのシーンに丸1日ずつかかっているから、計3日間も現場に行った。これはけっこうしんどかったね。

撮影も丁寧というか、贅沢。ひとつのセリフを喋るカットでも、カメラの位置を変えて何度も撮る。これは昔の映画のやり方だよね。

あの長州さんがグチをひとつも言わずに…

いまユーチューブとか動画コンテンツがいろいろあるけど、パッと撮ってサッと出すのが主流になってきているから、ここまで手間暇かけてるのはすごい。逆にいえば、テレビはここまでやるんだよ、素人にはできないだろって、意地になってるような気もする。

とにかく拘束時間は長いし、同じことを何度もやらされる。これだけ大変な現場なのに、あの長州さんがグチをひとつも言わずに辛抱強く撮影していることにも驚いたよ。気持ち的には、もう完全に俳優になってるのかもしれない(笑)。

武藤さんは相変わらずマイペース。過去に主演映画も撮ったことがあるから、撮影には慣れてるんだろう。

ドラマの中で、能もプロレスも体幹が重要というくだりがあるんだけど、確かにそうだと思う。体幹さえ鍛えておけば、多少のケガでも動けるし、どんな動きにも対応できる。試合中にスーパー世阿弥マシーンが、コーナーポストから飛び降りた瞬間に腰をやって動けないシーンがあるんだけど、俺もいま腰を痛めてるから、他人事じゃないというか、身につまされたよ。

ドラマでは、体幹を鍛えておいたおかげでピンチを切り抜けるって展開なんだけど、俺も腰のリハビリが終わったら、体幹から鍛え直さないといけないな。

今回は出演を断る方向だったが、企画・編集に沿ったドラマは、性に合わないことが改めて分かった。次はないな。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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