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米欧vs中露から“第三次世界大戦”へ!? 世界各地の反米勢力が集結か

イスラエルによるガザ地区への空爆
イスラエルによるガザ地区への空爆 (画像)Anas-Mohammed/Shutterstock

イスラエルとイスラム武装組織『ハマス』の戦闘の泥沼化が懸念されている。今後、近隣諸国を巻き込む事態も危惧されているが、〝中東の火薬庫〟で起きた衝突は、ロシアのウクライナ侵攻を激化させ、中国の台湾侵攻を誘発しかねない。中東、ヨーロッパ、アジアと戦火を広げ、「第三次世界大戦」に繋がる可能性も指摘されているのだ。

ハマスによる攻撃で、第四次中東戦争以来の死者を出したイスラエルは、報復措置としてガザ地区に激しい空爆を行い、さらに地上侵攻に向けて同地区を包囲した。そうした中、ガザ地区の保健当局は、同市中心部の病院で10月17日に爆発が起き、471人が死亡したと発表。ハマスがこの爆発を「イスラエル軍の空爆が原因」と主張したことから、今や中東各国でイスラエルを非難する大規模な抗議デモが起きている状態だ。

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だが、イスラエル側の言い分は正反対で、関与を否定している。イスラエル軍は同エリアを空爆していない証拠として、隣の建物が無傷であることを指摘。ガザ地区に拠点を置く別の武装組織『イスラム聖戦』に責任があると主張した。また、イスラエルを訪問したアメリカのバイデン大統領も、「ガザのテロリスト集団が誤射したロケット弾によるもの」と語ったのだ。

ちなみに、イスラエルは第二次世界大戦後の1948年に建国された国。周辺アラブ諸国と四度にわたり武力衝突した経緯があるが、今回の戦闘が今まで以上に危険視されているのには、大きな理由があるという。

“中東最強”のイスラエル軍

「それがアメリカの立ち位置なのです。もともとアメリカはイスラエルとサウジアラビアの国交正常化を後押ししてきたが、ハマスとの戦闘勃発以来、イスラエル支援を鮮明にした。さらに、10月20日にはバイデン大統領が同国とウクライナへの『前例のない支援策』を表明。イスラエルに防空システムの補強を含む約100億ドル(日本円で約1.5兆円)を支援する方針で、これが中東諸国のさらなる怒りを買っているのです」(軍事ジャーナリスト)

要は、軍事力では「中東最強」を謳われるイスラエル軍が圧倒的に有利だが、アメリカの肩入れに反感を抱くイランやサウジアラビアなどが反イスラエル、反米で結集すれば、本格的な戦争が起こりかねない。また、その際には西側諸国で無差別テロが相次ぐ可能性が高いことも指摘されているのである。

もっとも、冒頭でも触れた通り、戦火の広がりはこれにとどまらない公算が大きいという。昨年からウクライナに侵攻したロシアは、東部と南部4州の併合を一方的に宣言。その後、アメリカの支援を受けたウクライナの反撃を許してきたが、急激に風向きが変わり始めているからだ。

大手紙の外信部デスクがこう語る。

「米国製の長距離ミサイル『ATACMS』も実戦投入されたロシア・ウクライナ戦争は、事実上の西側諸国との代理戦争ともいわれてきたが、ここにきてポーランドとウクライナの関係が微妙になるなど、足並みが乱れている。加えてアメリカの中東シフトが強まり、ウクライナ支援における西側諸国の結束がさらに弱まりつつある。ロシアのプーチン大統領は、これを好機とみているのです」

アメリカは「前例のない支援策」でウクライナにも約600億ドル(約9兆円)の援助を表明しているが、莫大な金額提示は裏を返せば同国が軍事力の軸足を中東に移す証し。だが、アメリカの中東シフトが長引けばロシアが息を吹き返し、ウクライナ侵攻の激化、将来的なバルト3国への戦線拡大の恐れも否めないのだ。

核戦争に発展する恐れも

一方で、こうした動きは東アジアの情勢にも影を落とし始めている。27年までに台湾統一を行うといわれる中国の動きを、今まではアメリカ、日本、韓国が連携して牽制してきたが、これが崩壊する可能性が急速に高まっているからだ。

「アメリカが中東とウクライナ支援に力を注ぐとなれば、対中国まで手が回らなくなるのは必定。今後は日本と韓国が最前線で中国人民解放軍と対峙を迫られることになっていく。つまり、習近平国家主席がこの機を逃さず、台湾侵攻の大号令をかける可能性が高まりつつあるのです」(前出・軍事ジャーナリスト)

なんとも恐ろしいが、こうしたシナリオは絵空事ではない。実際に米連邦議会では、世界の紛争の広がりが議論されており、戦略態勢委員会がまとめた報告書には、第三次世界大戦の訪れとも取れる記述が存在するほどなのだ。

「報告書には『中国が核戦力を急速に拡大し、ロシアも核兵器への依存を高めている。これがアメリカの安全保障に前例のない脅威をもたらしている』とあり、アメリカは中国、ロシアとの同時戦争に備える必要があることを指摘している。また、その時期についても『27年から35年にかけて危険性が高まり、核戦争に発展する恐れがある』と明言しているのです」(同)

同報告書には中国の爆撃システム、北朝鮮の米本土への攻撃能力なども記されており、中東に続き東アジアで戦争が起きれば、さらに多くの国々が巻き込まれることは必至。第三次世界大戦へと発展する可能性も極めて高いのである。

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