地方競馬の歴史が変わるとき、いつもこの騎手の名前がある。南関東のエース、御神本訓史だ。2007年にフジノウェーブがJBCスプリントで地方馬初勝利を決めたときも、19年にブルドッグボスが同レース史上2頭目の地方馬優勝を遂げたときも、鞍上は御神本だった。
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「いい馬に乗せてもらってるというのはあると思います。すべて、巡り合わせというか『運』ですかね」
『運』というならば、この馬との出会いもまさに運命だったのだろう。『史上2頭目となる無敗での南関東3冠』という偉業を成し遂げたミックファイアだ。
「追い出したらすごい弾け方で、とにかく衝撃だった」と語る羽田盃では6馬身差をつけての圧勝劇。御神本にとって自身14回目の挑戦となった東京ダービーでは、羽田盃と同じく後続を6馬身突き放しての勝利。念願のダービージョッキーの栄誉を手に入れ、自らの歴史を塗り替えた瞬間でもあった。
今後のビジョンが示される大事な一戦
そして、重圧のかかるジャパンダートダービーも、レベルが高いと評される今年の3歳トップホースたちを完封しての優勝。
「相手も強いし、そこまで気負う気持ちもなかったのですが、それを大きく裏切って強い勝ち方をした。あそこで勝ってしまう能力があるんだと、正直驚きました」
3歳同士の戦いは終了し、これから古馬との戦いが始まる。まずは、大舞台『JBCクラシック』(JpnⅠ・11月3日)だ。
「古馬と戦ったことがないし、差はあると思います。盛岡(ダービーグランプリ)では、左回りもまったく問題なかったし、JRAのダート重賞も今後の選択肢に挙がるでしょう。だからこそ次がこの馬にとって、今後のビジョンが示される大事な一戦だと思ってます」
一戦ごとに成長し、恐ろしいほどのポテンシャルを見せるミックファイア。「その能力を邪魔することなく、存分に引き出すことが自分の役目」。そう謙虚に語る男が、また新たな歴史に挑戦する。
注)ミックファイアは『JBCクラシック』を回避することが、TCK特別区競馬組合から10月24日に発表された。
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