緊急事態宣言の延長に伴って、飲食店に対して支払われる1日あたり6万円の協力金も延長されることになった。当然の措置だが、飲食店を救うだけで本当によいのだろうか。ちょうど2020年分の家計調査が発表されたので、それに基づいて考えてみよう。
私が一番驚いたのは、2人以上の勤労者世帯の実収入が、前年比の実質で4.0%増えたことだ。世帯主収入は減ったが、特別定額給付金が収入を底上げしたのだ。
コロナで稼ぎが減ったのは、仕事量の減少が収入減に直結するフリーランスや非正社員で、正社員のサラリーマンは、少なくとも収入面では被害を受けなかったことになる。
一方、消費支出は実質で前年比5.3%減少した。ただし、消費減は費目によって大きく異なる。一般外食費は、▲27.1%と大きく減ったことは間違いない。しかし、消費の減少率で見ると、最も大きいのは交通費で▲49.0%となっている。つまり、交通関係は売り上げが半減しているのだ。鉄道、航空、バス、タクシーなどの交通関連業種が、緊急事態宣言で大きな影響を受けているのは明らかである。
緊急事態宣言の下で政府は、不要不急の外出や県境を越える移動の自粛を求めている。交通機関は外食産業よりも大きな影響を受けているのに、補償の対象から外すという判断を私は理解できない。もちろん、こうした業界を救うための手段がGoToトラベルだったのだが、それが感染第3波を招いたのだから、旅行客を増やすのではなく、被害額を直接補償することをなぜ考えないのだろうか。
そして、次に影響が大きいのは教養娯楽サービスで30.9%減っている。この中には宿泊費やパック旅行費も含まれているが、その他の部分、例えば、月謝類も23.7%減っている。娯楽ビジネスは、ある意味で不要不急の象徴だからか。この業界への補償の話はまったく出てこない。
利権につながらないから議論もしない?
実質消費の減少率が3番目に大きいのは、被服および履物で▲19.3%となっている。出勤を7割減にすれば、スーツも要らないし、おしゃれ着も必要なくなる。ところが、アパレルに補償を出そうという話を聞いたことがない。
また、被服費には被服関連サービスも含まれる。減少率は21.3%と、被服費より大きい。クリーニング、貸衣装、仕立てといった業種の売り上げが大きく減っているのだ。
家計調査の項目で、消費が二桁減ったのはこれらの業種だけだ。
そこで、外食、交通、教養娯楽サービス、被服・履物の4業界に、昨年の減少幅と同じ補償を与えたらどれだけの財政負担が必要になるのか、大雑把に計算してみよう。
これらの業種が消費支出全体に占める割合は13.1%だ。そして、消費減少額の消費全体に占める割合は3.9%ということになる。年間の消費が300兆円とすると、1カ月あたりの補償額は1兆円だ。緊急事態宣言を2カ月続けても2兆円にすぎない。予備費だけで対応できる金額だ。
緊急事態宣言の影響は、緊急事態を宣言された都府県だけの問題ではなく、飲食業だけの問題でもないから、こうした一律の支援をすれば、全国の多くの事業者を救える。給付も簡単だ。
こうしたシンプルなやり方が議論もされない理由は、やっても利権につながらないからではないのか。
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