(画像)DUNYA DEGISMEDEN/Shutterstock
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金さえ渡せば将来安泰か…不正が横行する北朝鮮の“お受験地獄”とは

北朝鮮は韓国より日本統治下時代のエリート教育の面影が残っている。2008年から首都・平壌と道別(日本の県にあたる)に1校ずつ設立された26の第一中学校がその象徴で、中でも平壌第一中学校(小、中、高)は、さしずめ戦前の日本のエリート校である旧第一高等学校の位置づけだ。


「北朝鮮は日本と違い、小中高の12年間が義務教育期間で表面的には無償です。ただし、平壌第一中学校は成績競争が超苛烈。成績が悪ければ一般の学校へ強制的に転校させられてしまうだけでなく、中、高校課程に進学するたびに、一般の学校の生徒の中から成績の良い生徒を選抜し試験を行って編入させる、いわゆる入れ替え式再入学制度を実施しています。そのため、告げ口などで蹴落とそうとする陰湿なイジメなども起きているのです」(北朝鮮ウオッチャー)


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北朝鮮の国民は、この手の秀才学校に進学すれば自身の身分を上げることができると夢見ており、進学のための熾烈な競争が繰り広げられているという。


ちなみに「英才」という言葉は、金一族のみに使用されるキーワードだが、第一中学校に入学した学生が、成績不振やイジメから一般の学校に転校させられると、悲惨な学校生活が待ち受けているという。


「無償教育といっても、実際は国の補助が学校へ行き渡らず、家庭負担になり、学校に行かず働く生徒も多いのです。学校側も生徒の出席率を上部機関に報告しなければならず、出席率が低ければ、予算も減らされることから役人に賄賂を送るなどして、その場をしのいでいるのが実情なのです」(同)

賄賂も使われ不正も横行する

また、こうした事情を受けて国内では腐敗が進んでいるという。金正恩総書記の身辺警護を務める護衛司令部の候補生である「6課対象」の選抜に賄賂が使われたと、米政府系報道機関『ラヂオ・フリー・アジア(RFA)』が報じた。

「6課は朝鮮労働党中央委員会の組織指導部の指示に従い、家庭環境、身分、学業成績、身長、体重、体格、性格など、あらゆる面で秀でた人材を選びぬき候補生を指定するが、当然、そこには不正も横行している。そのためか自分の息子を対象に選んでほしいと、6課副部長に5000元(約10万2000円)の賄賂を渡していた事例が発覚した。わが子の出世を夢見る親の足元を見て、副部長が賄賂を要求したのです」(同)


国際的なNGOが毎年発表している政治家や公務員の腐敗認識指数で、昨年、北朝鮮は対象180カ国のうち171位(日本は18位、韓国は31位)だった。順位が高いほど腐敗率が低いが、モグリの警護員が正恩氏の身辺を警護しているのであれば、腐敗国家も極まれりだ。