巨人・原辰徳前監督が“衆院選出馬”!? 「セ・パ16球団エクスパンション」へ向け動くか
今季で読売巨人軍の監督を退任した原辰徳氏(65)が次期衆院選に立候補する説が急浮上した。擁立する自民党の狙いは、アベノミクスの一つとして2014年に同党がまとめた「セ・パ16球団エクスパンション(拡張)」提言の具現化。球界再編が加速するか。
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読売巨人軍の監督を辞任するにあたり、原氏は「私の気持ちは一点の曇りもなく、晴れ晴れとしている」と強調したが、その発言に見え隠れするのが、国会議員への転身、ユニホーム経験者主導の球界再編だ。
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「原監督は、趣味がNHKの国会中継鑑賞という無類の政治好き。現役時代から自民党支持を表明するなど、将来の政治家転身を温めていた。そのときが来たということです」(スポーツ紙記者)
当初は、3年契約が満了する来秋に巨人軍の監督を勇退し、2025年参院選に出馬を描いていた。が、今季で退任となり、計画を前倒し。自民党から衆院選出馬が急浮上したのだ。
原監督の退任に伴い、大久保博元打撃チーフコーチが退団を申し入れたが、これも今回の動きと連動している。巨人OBがこう話す。
「デーブ(大久保)は、98年の参院選で江本孟紀氏(野球評論家)が当時の民主党から立候補した際も手弁当で大阪に駆け付け、選挙カーを運転して当選に尽力した。恩義に厚い男で、巨人に呼んでくれた恩師・長嶋茂雄氏が江本氏を応援したからです。今般の退団もV逸の責任もあるが、師匠・原監督の出馬情報を察知し、尽力したかったからでしょう。いずれ自身も故郷の水戸で何らかの選挙に打って出るのではないか」
岸田文雄首相は、10月22日投開票の衆院長崎4区、参院徳島・高知の両補選の結果次第で衆院解散を計画している。自民党が2勝すれば20日に召集される臨時国会のどこかで、2敗なら年越しが予想されるが、いずれにせよ解散総選挙はそう遠くない。
「プロ野球16球団拡張」
実は、原氏のもとには第二次巨人監督を退任した15年にも、自民党首脳から翌夏の参院選出馬の要請があった。当時の安倍晋三首相(故人)がシーズン真っ只中の5月に原氏を首相官邸に招き、食事会を開いた席で打診したという。両氏は開幕直前の同年3月にも歓談しており、共に甘利明経済再生担当大臣(当時)が同席した。甘利氏は選挙区が神奈川県内。G党で原氏の父・貢氏らと家族ぐるみの付き合いから始まり、今でも年に数回、食事を共にしている仲だ。
その前年の14年、自民党の日本経済再生本部(本部長・高市早苗政調会長)は成長戦略として「日本再生ビジョン」を発表した。その起爆剤として提言したのが「プロ野球の16球団拡張(エクスパンション)」。所轄大臣は経済再生担当の甘利氏だった。
有識者の分析によれば、95年当時、NPB(日本プロ野球)とMLB(米大リーグ)は共に約1500億円ほどの市場規模。しかし、NPBが20年経っても横バイ状態なのに対し、MLBは10倍増の1兆5000億円規模に。MLBがこの間に4球団増やし、ア、ナリーグとも15球団(計30球団)に拡張したことが大きかった。
一方で、ライバルのJリーグが地方の主要都市に本拠地を次々に構え、「エクスパッション」策で勢力を拡大したのも痛手となった。
そこで自民党の日本経済再生本部は「プロ野球の空白地域に球団を作り、12球団から16球団に拡大させては」と提言。新加入の4球団をセ・パ両リーグに2球団ずつ配置し、その上で東西もしくは南北に分け、4球団ずつ4地区に分ける構想も示した。
「そうなれば、4つの地区優勝が新たに生まれ、ファンを増やせる。他地区や他リーグとの交流戦で地域経済が活性化し、ポストシーズンも盛り上がる。しかし、煩雑すぎて構想が行き詰まり、監督退任が予想される原氏に指南役を期待したのです」(政治部記者)
いまがその時と再浮上
しかし、当時の原氏は巨人軍の監督再々登板への思いも強く、時期尚早と辞退。今回、さすがに四度目の登板はないとの判断から、安倍氏の遺志を継ぐ形で出馬要請が再浮上したのだ。プロ野球は来季からファームリーグに「ハヤテ223(ふじさん)」(静岡市)と「新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」(新潟市)の参加が内定した。今後、宇都宮市、松山市、熊本市、那覇市などが参加を目指すが、「セ・パ16球団」実現にはまだまだ時間がかかる。スピードアップには〝原辰徳議員〟が必要という与党判断だ。
全国的な知名度を考えれば、参院選・比例代表での出馬が手っ取り早いが、衆院選でも比例南関東ブロック(神奈川、千葉、山梨)なら当選は濃厚。原氏は相模原市出身。自民党神奈川県連の小泉進次郎会長をはじめ、小泉純一郎元総理、菅義偉前総理、甘利明、河野太郎両氏など党重鎮がこぞって後押しするからだ。
巨人にとどまらず、ベイスターズファン、東海大相模高、東海大関係者も応援する。神奈川県は小選挙区の〝10増10減〟で相模原市などで2増となり、小選挙区での勝利も期待できる。
巨人軍の監督経験者では、堀内恒夫氏が10年の参院議選に自民党から比例代表で立候補し、翌年繰り上げ当選。同参院選では中畑清氏も「たちあがれ日本」から出馬し、党内2位の得票を獲得したが、比例当選枠が1人だったため次点で惜しくも落選。しかし、その際の熱弁が南場智子オーナーの目に留まり、翌年オフの横浜DeNAベイスターズ監督就任につなげた。
原氏は当選が濃厚なばかりか、いきなりスポーツ庁長官抜擢も予想される。そうなればユニホーム組では初めてのNPBコミッショナー就任も近づく。次期衆院選で球界再編に弾みがつくのは確実だ。
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