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アルツハイマー病“新薬認可”も問題山積…未知なる副作用に対応できるのか

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(画像)yu_photo/Shutterstock

国内で数百万人の患者がいるとされるアルツハイマー病。厚生労働省は製薬大手・エーザイのアルツハイマー病新薬『レカネマブ』(商品名・レケンビ)の製造・販売を9月25日に承認した。年内にも公的医療保険が適用される見通しだが、医療関係者は「問題点が残っているので素直に喜べない」と不安を隠さない。

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「確かに、アルツハイマー病患者には朗報ですが、効果があると見込まれるのはアルツハイマー病による軽度の認知症患者、その前段階の軽度認知障害の人です。副作用も解明されていません」(医療ジャーナリスト)

エーザイと米医薬品大手のバイオジェンが共同開発した『レカネマブ』は、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積して神経細胞を傷つけているとみられるタンパク質『アミロイドβ』に結合して除去。アルツハイマー病の原因物質に直接アプローチする薬として期待されている。

「エーザイとバイオジェンが開発した先発薬は、2021年に米国では仮免許的な扱いで承認されたんですが、高額な上に原則公的保険適用外になったため、普及しなかった。日本でも21年12月に〝有効性を明確に判断するのが困難〟として、承認は見送られたんです」(薬剤アナリスト)

対象となる患者が限られる…

今回、厚労省に認可された改良版とも言える新薬は臨床試験で症状悪化を27%抑え、進行を遅らせる効果が認められたが、脳のむくみや出血などの副作用も報告されている。

「薬の効果を十分に生かすには、対象となる患者を早く見つける体制を整えなければならない。副作用の対応も欠かせない。問題は山積みです」(前出・医療ジャーナリスト)

気になるのはレカネマブの価格だ。

「すでに承認されている米国では1人当たり年2万6500ドル、日本円で約390万円と高額になっている。日本での市場規模は年1500億円と見込まれており、保険適用が認められれば、患者の負担額は数十万円程度に抑えられそうだが、医療保険財政への影響は避けられない」(同)

なんとも痛し痒し。

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