日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 
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『ダントウボウ』茨城県土浦市/備前川産~日本全国☆釣り行脚

茨城県は霞ケ浦に繋がる桜川にて、夜釣りのブッ込みでチャネルキャットフィッシュを狙った前回。安定の釣果と言いますか、現在となっては増えまくったこの魚を釣るのはイージーで、夜の静寂に響くドラグ音をたっぷりと堪能できました。霞ケ浦といえばチャネルキャットフィッシュのみならずブラックバスやブルーギル、ペヘレイ、オオタナゴなど、決して喜ばしいことではないながらも外来種天国と言えるフィールド。せっかく土浦まで来たので、翌日もチョイと釣りをしていくことにしました。


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明けて翌日。昨日と同じ桜川というのもアレですし、桜川と並行する小さな水路のような備前川で竿を出してみることにします。狙いは…まあ、来るもの拒まずで、安物の渓流竿に簡単な玉ウキ仕掛けで朝の備前川を釣って行くことにしましょう。


【関連】『チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)』茨城県土浦市/桜川産~日本全国☆釣り行脚ほか

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到着すると両岸とも護岸ながら、所々にヨシ(アシ)が生えていたり、何より茶緑色に淀んだ水はいかにも何かがいそうな雰囲気。澄んだ大河川よりも小さなドブ川が大好きなワタクシとしては実にそそられる雰囲気です。早速、エサのミミズをハリに掛けてヨシの際に仕掛けを入れます。のったりと流れる玉ウキ。やがてピコッ、ピコピコッとアタリがあり、軽く手首を返すとブルルッと小さなブルーギルがハリ掛かりです。


1投目から釣れるのは嬉しい半面、コレが湧いているとコレばかりになってしまうので厄介です。リリースして続けますがその後はアタリもなく、湧いているわけでもなさそうなので一安心。少しずつ移動をしながら仕掛けを打ち返していくと、いきなり勢いよくウキが消し込みました。

釣果賑やか外来種率100%

合わせると強烈な重量感で竿は満月に。コイでも来たか? と、竿を溜めて堪えながら浮かせてくると、チャネルキャットフィッシュです。別に夜でなくてもいつでもどこでも釣れるんですね…。この魚は前夜に存分に満喫しているのでリリース。再び探っていくと常磐線鉄橋下にさしかかりました。川幅が狭くなり変化のある地形はいかにもよさげです。と、ウキがゆっくりズモーッと沈みました。

ダントウボウ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

軽く合わせるとグンッとハリ掛かり。小さくもなさそうですが、さりとてチャネルキャットフィッシュのような重量感もなく、ブラックバス? あるいはフナか? と期待をしつつ寄せてくると水面下に体高のある銀鱗が見えました。エサはミミズなのでヘラは考えにくいですし「半ベラか?」と玉網を伸ばして確保。引き上げた魚体は、ずいぶんと激しい〝背っぱり〟ですな…。ここ数年、霞ケ浦でその名を耳にするようになったダントウボウでした。さすが外来種天国。


30センチほどと手頃な大きさなので試しに持ち帰るべくキープし、再び竿を出すと釣れるのはブルーギル、チャネルキャットフィッシュ、そして小さなブラックバスも…。すべて外来種というのがなんともではありますが、まあそれが目的でもあるので…。


ワタカ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

ひとしきりいろいろなアタリを楽しんで、そろそろ納竿をというところで、今までとは違うシャープな引きでワタカが釣れました。こちらも本来の分布域は琵琶湖、淀川水系ですから国内外来種。なんとも賑やかな霞ケ浦です。

淡泊な白身は中華風と相性◎

最後に鉄橋付近をもう1回やって終わろうと仕掛けを入れてみると、ズモーッとゆっくり沈む玉ウキ。結構な重さで先ほどよりも大きい、40センチは優に超えるダントウボウが釣れ上がりました。こんなになんやかやと釣れるとは思ってもいなかったため、これでもう十分満足。竿を納め2尾のダントウボウをお土産に帰路に就くことにします。

原産国の中国では武昌魚と呼ばれるダントウボウ。毛沢東の好んだ魚としても知られ、養殖も盛んなようです。さらに最近では小骨の少ない武昌魚も開発されているとか。果たしてどんなお味なのでしょうか。


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シンプルに塩焼きと、中華風蒸魚にしてみたところ、見た目に反して意外や臭みは少なめです(この手のコイ科にしては)。まず塩焼き。非常に淡泊でやや物足りなさは否めないものの、香ばしくしっとりとした肉質で決してまずくはありません。そして中華風蒸魚。淡泊ゆえ、濃い目の味付けと相性がよく美味。さすが原産地の料理、この魚の特徴に合っております。ただ、大きさのせいもあり小骨が少々気になり、なるほど、小骨が少ない養殖ダントウボウが開発されるというのも頷けます。


チョイと竿を出して多彩に外来魚釣りが楽しめる。こんな環境も楽しいのかもしれません。な〜んて言ったら、また怒られちゃいますね…。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。