東京ドーム(C)週刊実話 
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巨人・阿部新監督に“任期1年”の可能性!? ミッションクリアが続投の条件か…

2年連続Bクラスの責任を取って巨人の原辰徳監督が退任し、新監督に阿部慎之助ヘッドコーチが昇格した。任期は3年とされるが、根幹契約は「原政権の残り任期の1年」。3つのミッションクリアが、続投の条件で球団史上最短政権の可能性も…。


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「今回の監督交代は、あくまで原監督の残り任期が対象。残り2年は実質オプションで、1年でお役御免の可能性がある」


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こう話すのは、有力な巨人OBの解説者だ。


原監督の契約は来季までの3年間。兼任するGM分も含め推定年俸は各年2億円。辞任なら球団は来季年俸を満額支給する必要がないが、球団都合の解任なら全額支払いの義務が生じる。


結局は「辞任」という形を取ったが、「自主返納」を求めるファンの声もあり、実質的な減額は避けられそうにない。


系列メディアの関係者が、こう話す。


「落としどころとなったのが、辞める原監督と阿部新監督の年俸折半です。残り1年分の原監督の給与2億円をシェアさせたのです。阿部の推定1億円は阪神の岡田彰布、オリックスの中嶋聡、楽天の石井一久、日本ハムの新庄剛志監督と同額。決して安くはない。見逃せないのは金額ではなく、当初の2024年度予算内で処理したこと。残り2年は新たな監督もという両睨みです」


本誌が得た情報によれば当初、原監督が今季で辞任した場合の後任は阿部氏ではなく、高橋由伸氏の再登板だった。しかしヘッドコーチとして温めていた井端弘和氏が、侍ジャパンの監督に就任。原監督の1年早い退団でスタッフ編成に誤算が生じ阿部氏にお鉢が回ってきた。


今季の巨人は4位とはいえ、トータルで71勝70敗2分けと、決して絶望する数字ではない。ただ、優勝した阪神に6勝18敗1分け、2位の広島に8勝17敗と大きく負け越し。この2チームだけで借金21と、これが優勝を逃した要因となった。

原監督が残した3つの案件とは…

一方、高卒3年目で身長2メートルの秋広優人が長距離砲に育ち、ショート坂本勇人の後釜に大卒ルーキー・門脇誠の目処が立ち、腰に不安を抱える坂本は三塁にコンバート。主砲・岡本和真が41本で本塁打王を獲得。高卒ドラ1ルーキーの浅野翔吾も、1番センターの形が整った。

投手陣も若い力が躍動。戸郷翔征が12勝、山﨑伊織が10勝を挙げ、エースの菅野智之に代わってローテを牽引。井上温大、直江大輔らも先発候補に成長した。


このように原監督の遺産で若手の新戦力の整備が進み、「25年シーズン以降、阿部が任期を満了できるかどうかは、原監督が積み残した3つの案件処理次第」とは巨人関係者。


1つ目は「三塁・坂本、一塁・岡本」で出番が減り、不満分子となった中田翔の処理。2つ目は、FAの人的補償で18年に西武に移籍した内海哲也氏の投手コーチでの呼び戻し。3つ目は、コンディション不良だった守護神・大勢に匹敵する抑えの補強だ。


「いずれも、原監督が主導したり、招いたもので、自身では処理が難しかった問題。そこで監督を引き継ぐ阿部にこのミッションを丸投げしたのです。クリアできれば、任期を満了できるが、果たせなければ、政権の短命は避けられない」(巨人担当記者)


さっそく中田翔は、恩師・原監督の退任でFA権行使の方針を固めている。昨オフに巨人と3年契約を結んだが、1年ごとに破棄できるオプトアウト契約のため、変更は可能だという。移籍先を決めるのは本人だが、阿部監督は中日OBでもある川相昌弘コーチを通して、立浪和義監督の意向を探っているという。


昨季現役を引退して、西武二軍投手コーチに就任した内海氏は、巨人時代に阿部氏と長年バッテリーを組んだ仲。阿部氏の監督昇格に合わせて西武退団を表明。電光石火で古巣での入閣が決まった。

松井裕樹の気持ちはメジャーへ!?

これで2つのミッションはクリアできそうだが、最後の1つが暗礁に乗り上げた。「抑え獲得」だ。

原監督は、4月に海外FA権を獲得した楽天・松井裕樹の獲得を狙っていた。元来、松井は先発投手だったが、大久保博元監督(当時)時代にリリーフに転向。日本屈指の左腕クローザーに成長した。その恩師が原監督と共に退団したことで計画に歪みが出たのだ。


一方、大久保氏は東京・新橋で焼肉居酒屋を経営しており、阿部監督の父親・東司氏は古くからの常連客。家族ぐるみの付き合いが続き、新生・阿部巨人のヘッドコーチ就任案もあった。しかし、球団が二岡智宏二軍監督をヘッドに推したことも加わって関係が悪化。この大久保ロスで、松井の心はメジャーに傾いているという。


ミッションのコンプリートが困難になり、来季もリーグ優勝を逃せば、新たな政変は避けられない。球界の重鎮がこう話す。


「監督年齢が44歳に下がり、アラウンド70歳の落合博満、中畑清、江川卓、アラウンド60歳の工藤公康、川相昌弘、斎藤雅樹の監督の目が消滅した。55歳の桑田真澄、49歳の松井秀喜、48歳の上原浩治も置き去りです。そこでOB連に、48歳の由伸の監督再登板で監督年齢を引き戻そうという動きがある。そうしないことには、桑田や松井の監督チャンスが消えてしまう。阿部は然るべき年齢に再登板しても決して遅くはない」


阿部ヘッドの監督昇格は、原監督が任期を1年残した突然の退任が生んだハプニング劇。阿部氏の「1年退任説」はここに起因する。


原監督も同席した監督交代会見で「来年は『アレ』でなく『アベ』でいきたい」とユーモアたっぷりにアピールした新監督だが、巨人OBは敵ばかり。新生・阿部巨人の飽くなき戦いが幕を開けた。