9月末に日本相撲協会は、立行司の式守伊之助(64)が来年の初場所番付発表の12月25日から第38代木村庄之助を襲名することを決定した。第37代が2015年に定年退職して以来、空位になっていた行司界の最高位が復活することになるが、実はこの人事が〝波乱〟を呼んでいる。
伊之助は来年9月に定年を迎えるため、庄之助を名乗るのは9カ月だけとなるが、約6年間も待たされ続けてきただけに「内定ですが、(祝福の)メールが何十件も来ました。後輩たちにいい見本を見せられるよう行動していきたい」とコメント。ところが、この昇格人事を快く思わなかったのが、三役格行司のまま据え置かれたナンバー2の木村玉治郎(62)だったという。
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「玉治郎は今年の名古屋場所の優勝決定戦も裁くなど、ミスの多い伊之助とは対照的に軍配裁きには定評がある。同時に伊之助に昇格させてもおかしくなかったが、人事を決めた理事会ではなぜかそうした話は出なかったのです。そのため、この昇格人事を聞いた玉治郎は『なんで11回も進退伺いを提出している伊之助が庄之助になって、オレはそのままなのか』と立腹。理事会翌日の朝一番に師匠の立浪親方(元小結旭豊)を訪ねて辞意を告げ、その足で協会事務所に退職届を提出したのです」(一門関係者)
納得いかない人事
行司の昇格人事は年に1回、9月の秋場所後と決まっているため、玉治郎が伊之助に昇格するのは早くても来年以降。すると、定年まで2年ほどしかなくなり、時間切れで木村庄之助にはなれない可能性もある。48年前、庄之助になる夢を抱いて福島県から中卒でこの世界に飛び込んだ玉治郎には、今回の人事はなんとしても飲めなかったとみられているのだ。
「玉治郎は結婚歴がなく、いまだ独身。しかも生活ぶりは地味で、貯めるものはしっかり貯め込んでおり、たとえ相撲協会から離れても暮らしには困らないようです。ただ、それを読み切れなかった相撲協会内には、玉治郎の唐突な辞めっぷりに驚きの声が上っているようです」(部屋関係者)
男は夢を奪われると何をしでかすか、分からない。
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