9月20日にイギリスのスナク首相がガソリン&ディーゼル車の新車販売禁止措置を、当初予定の「2030年から35年に先送りする」と発表。この声明が、「中国のEV(電気自動車)排除」と話題を呼んでいる。
「イギリスが離脱したEU(欧州連合)は、『2035年からガソリン車の新車販売全面禁止』との方針だったが、今年3月に方向転換。『環境に良い合成燃料を使うエンジン車は35年以降も認める』とした。スナク首相の発言はこれを踏まえたものだが、実は欧州市場を席巻する中国EV車の締め出しが狙いではと、もっぱらなのです」(自動車評論家)
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ただ、こうした見方が噴出するのも無理もない話と言える。脱炭素化を標榜するEUは、21年に同規制案を発表。EV社会への転換を目指したが、ここにきて市場における中国製EVの台頭が止まらないからだ。
「中国のEVメーカー『BYD』は今や販売台数世界一だが、EVを含む中国メーカーの欧州への輸出台数は年々増加。22年は21年の3倍に上り、欧州のメーカーは強烈な危機感を募らせていた。イギリスがEUと足並みを揃えて中国メーカーの排除に動きそうな下地は、この頃から存在したのです」(経済記者)
駆逐されないための包囲網
また、中国製EVを警戒する動きはこれ以外にも出始めている。9月13日に欧州委員長は中国製EVの価格が、中国政府からメーカーに渡る補助金で安く抑えられていると指摘。「調査に乗り出す」と発表したが、これも露骨な「中国排除」とみられているのだ。
経済記者がこう続ける。
「もともとEV化への転換は、ゲームチェンジを起こすために中国が仕掛け、ハイブリッド車に対抗したい欧州がそれに乗っかったといわれている。だが、気が付けば市場を独占され、欧州自動車産業は中国EVメーカーに駆逐されそうな勢い。そのため、包囲網が敷かれ始めたのです」
後戻りはできるのか?
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