『今日も小原台で叫んでいます残されたジャングル、防衛大学校』KADOKAWA
『今日も小原台で叫んでいます残されたジャングル、防衛大学校』KADOKAWA

『今日も小原台で叫んでいます残されたジャングル、防衛大学校』著者:ぱやぱやくん~話題の1冊☆著者インタビュー

『今日も小原台で叫んでいます残されたジャングル、防衛大学校』KADOKAWA/1760円
ぱやぱやくん 防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。 X(旧ツイッター):@paya_paya_kun
【関連】『禍(わざわい)』著者:小田雅久仁~話題の1冊☆著者インタビュー ほか

――防衛大学校には一般大学とは違う、独特の〝ルール〟があるそうですね。


ぱやぱや まず大前提として防衛大学校は全寮生活であるため、原則として平日外出をすることができません。そのため、学生たちは防衛大という「小さな世界」で生活していく必要があります。さらに部屋も8人部屋で整理整頓もかなり厳しく、プライベート空間はトイレの個室しかありません。特に新入生のときは、一挙手一投足のすべてを上級生に見られているため、新入生が手を抜いていると厳しい指摘を受けて、なかなか大変です。ただ、学生同士の団結心が強く仲がいいので、〝昭和のスポコン〟のような校風があります。


――限界に挑む数々の訓練があるとか。どのような行事があるのですか?


ぱやぱや 防衛大には4年間で1005時間の訓練がカリキュラムとして組まれており、小銃(ライフル)射撃や東京湾を8時間かけて遠泳する訓練などもあります。行事として有名なものは「棒倒し」で、開校記念祭(学園祭)で1~4大隊のチームに分かれて行われます。ただ、普段から鍛えられた防大生が全力で競技を行うので、ケガ人が続出します(ちなみに、競技中は近くに救急車も待機しています)。

雰囲気イケメンになることすら不可能

――気になる恋愛事情ですが、防大生はモテるのでしょうか?

ぱやぱや 防大生はまったくモテません(笑)。というよりも出会いがほぼゼロです。特に1学年のときは、坊主頭で顔はストレスニキビだらけになるので、雰囲気イケメンになることすら不可能です。彼女ができたとしても、訓練や部活で全然会うことができず、結局別れてしまうケースが多いですね。ただ、4学年の冬あたりから「防大生は優良物件だ!」と、気が付いた女性からアプローチを受けることもあり、ちょっとはモテるようになりますが、一般大学に進学したほうが恋愛は間違いなくエンジョイできるでしょう。


――卒業時に「任官辞退」する人も少なくないと聞きます。なぜでしょうか?


ぱやぱや 任官辞退をする学生には、さまざまな理由があります。自衛隊組織になじめない、ケガをしている、他にどうしても進みたい道がある、などです。よくメディアは「任官辞退の背景には有事への危機感が~」などといった報道をしますが、有事への危機感で任官辞退をする学生はほぼいないと思います。ただ、任官辞退は認められるまで教官と多数の面接があり、かなり厳しい言葉も飛び交うので、「絶対に自衛隊にはいかないぞ」という強い意志が必要なのです。


(聞き手/程原ケン)