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『イワナ』長野県木曽郡/八沢川産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

養殖のケバい放流アマゴを狙って、長野県は木曽郡の小川で竿を出した前回。スレたアマゴに苦戦しながらも、オレンジ斑点のケバいアマゴを手にすることができ、満足のうちに納竿。そして、その足で訪れたのが小川のさらに上流に位置する赤沢自然休養林です。

この園内には森林鉄道が走っており、涼しい風を受けながら森の中の2.2キロメートルをゆっくりゴトゴト走ります。観光用に復元された鉄道とはいえ雰囲気は抜群で、在りし日の森林鉄道の一端を体験できる貴重な施設と言えましょう。

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さらに、釣り人としてそそられるのは、その沿線風景です。森林の中の美しい沢伝いを走るので、いかにもイワナが潜んでいそうな落ち込みを目にする度に、〝釣り欲〟が刺激されます。しかし残念なことに、この赤沢一帯の沢筋は禁漁区となっており、釣りは御法度。ダメと言われると、ワタクシますますヤリたくなってしまうもので、先ほどのケバアマゴで満たされたはずの釣り欲が、再びムクムクと湧き上がってまいります。

言うなれば、お気に入りのAVで会心の自慰行為をした後、クールダウンも兼ねてテレビをつけたら、たまたま出ていたお天気キャスターのお姉さんにムラムラしてしまうあの感覚、と言えば分かりやすいでしょうか。これは帰りにどこかで抜かねば、いや、釣らねば辛抱たまらんなぁ…。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

ということで、ひとしきり森林と森林鉄道を満喫した帰り道に、もうひと勝負していくことにしました。もちろん赤沢一帯は禁漁区ですし、再び小川で竿を出すというのもアレなので、いったん、木曽福島の駅前に戻ってレンタカーを返却。宿場町の雰囲気を楽しみつつ散策がてら町中を流れる八沢川に足を向けてみることにします。

町中の里川も意外と侮れず

八沢川は木曽川合流点から0.7キロメートル上流までが〝子供釣り専用区域〟となっており、一般の釣り人が竿を出せるのはそれよりも上流となります。川沿いを上流に向けて歩き、子供釣り専用区域の起点となる橋を越え、さらに念のため、もう少し歩いて中山道の橋の上手あたりから釣り始めることにしました。

町中を流れる里川ですので、先ほどの赤沢のような森林の沢という雰囲気ではありませんが、流れは清冽。所々によさげなポイントも点在しており、釣り欲を満たすには十分です。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

道路沿いにしばらく釣り上がると〝これは間違いない〟という落ち込みが見えてきました。町中の川ですし、こんな分かりやすく魅力的なポイントはおそらく誰もが仕掛けを入れているでしょう。とはいえ、周囲にいくらでも魅力的な渓流がある木曽において、案外こういった里川は本格的な渓流釣り師からは敬遠される可能性もあり、ひょっとすると魚が残っているかもしれません。

イワナ 日本全国☆釣り行脚
イワナ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

ダメ元で「物は試しに…」とミャク釣り仕掛けにミミズを付け、姿を川面に映さぬように後ろに下がって、落ち込みの中に仕掛けを投じます。グリッ! グリグリッ! あらやだ、いたじゃないの…。小気味よい魚信とともに釣れたのは18センチほどのイワナです。この雰囲気はアマゴエリアかと思っていたのでちょっと意外でしたが、漁協がイワナも放流してくれているのでしょう。いずれにせよ、ここぞというポイントで元気な手応えが味わえるのは有り難いことです。

納得の1尾木曽路を満喫

さらに上流側に目をやると、目の前の落ち込み以上に魅力的な堰堤があります。今の落ち込みに魚がいたということは、あの下にも残っているかもしれない…。ソロリソロリと川っぺりを歩いて堰堤の上に回り込み、静かに堰堤直下の隅っこに仕掛けを入れます。

日本全国☆釣り行脚
イワナの塩焼き 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

エサのミミズが沈む様子を思い浮かべながらゆっくり沈めていくと、着底の前にガツガツッとアタリが出て、向こう合わせ気味に竿先が絞り込まれました。反射的に手首を返すと、先ほどのイワナよりも力強い手応えです。堰堤の下に潜り込まれないように、やや強引に浮かせて抜き上げたのは、8寸ほどのまずまずのイワナ。ムラムラしていた釣り欲もこの1尾で解消され、イワナ2尾もあれば晩酌の肴にも十分なので、竿を納めることにしました。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

帰りの列車を待つ間、駅前に並ぶ昭和感満載の食堂で、冷たい蕎麦をいただき各駅停車でのんびり帰宅。そして、帰宅後はイワナの塩焼きに木曽の旨い酒で晩酌です。爽やかな森林、ゴトゴト走る森林鉄道と素晴らしい沢伝いの景色、そして福島の里川のイワナ釣り…木曽路を満喫できた素敵な1日となったのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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