(画像)Roman Samborskyi/Shutterstock
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声優業界が危機!? 10月に始まる“インボイス制度”で約3割弱が廃業検討

「第6次声優ブーム」終息か。10月から施行される『インボイス(適格請求書)制度』の影響で、声優の激減が予想されている。「小中学生の将来なりたい職業」(ニフティ調査)で、3位になったこともある声優人気にも終止符が打たれそうだ。


インボイス制度は、2019年に消費税の軽減税率導入に伴い、8%と10%の2種類の消費税率が存在するようになったため、政府が事業者に正確な税額計算を求めるために導入した制度。財務省の試算では、免税事業者約488万のうち約160万が課税事業者に変更し、2480億円の税収増を見込んでいる。


【関連】「インボイス制度」は“弱者切り捨て”の悪法!? 宅配サービスの崩壊招く危険性も ほか「これまで課税売上高1000万円以下の事業者と個人事業主は、消費税の納税を免除されていたが、制度開始後は免税事業者か課税事業者の選択を迫られる。免税事業者のままなら、税負担を嫌がる発注元から取引を避けられる懸念が出てくる。課税事業者になれば、新たに税負担と煩雑な事務手続きが発生する。特に、個人事業主が大半を占める声優やフリーライター、クリエーターなどは地獄です」(都内の公認会計士)

手数料10%値上げの勧告

ある声優の有志団体の調査によれば、声優の7割以上が年収300万円以下で、約3割弱がインボイス制度開始で「廃業を検討している」と回答したという。

「所属事務所から〝免税事業者のままだと手数料を10%値上げする〟と通告されたケースもある。通告された声優は口々に〝事務所を移りたい〟と言いますが、この業界は人気声優でない限り移籍先を見つけるのは至難の業です」(声優プロマネジャー)


フリーランスの声優の場合、発注元の制作会社側から「インボイスの登録番号を教えて」「免税業者のままなのか、課税業者になるのか」の問い合わせが多く、その対応にも苦慮している。


「インボイス制度は、物価高で苦しんでいる小規模事業者に追い打ちをかける事実上の増税。声優業を含めたさまざまな業界で廃業に追い込まれる業者が続出しますよ」(前出・公認会計士)


インボイス制度は、弱者から金ばかりか夢と希望もむしり取る。