福島第一原子力発電所で処理水の海洋放出が始まったことを理由に、中国が日本の水産物の輸入を全面禁止。〝海の黒いダイヤ〟と呼ばれ、暴力団の資金源になっているナマコの密輸急増が懸念されている。
日本でナマコは酢の物や珍味の「このわた」などで知られているが、一般家庭の食卓に上ることは稀。だが、中国では高級中華料理の食材に使われ、特に日本産の干しナマコが大人気だ。
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「日本のナマコを乾燥させた干しナマコが中国では『海参(ハイシェン)』と呼ばれ人気がある。名前の由来は『海の朝鮮人参』。朝鮮人参はサポニンという成分を含んでおり、健康増進や美容面での効果がある」(フードジャーナリスト)
ナマコの密漁は暴力団の資金源になっていることから、昨年12月に違法な漁獲を防止する水産流通適正化法が施行されたが、それでもナマコの密漁は後を絶たない。
次々と逮捕者が…
今年3月には香川県三豊市沖でナマコを密漁したとして、漁師ら2人が漁業法違反と県漁業調整規則違反容疑で坂出海上保安署に逮捕された。
「水産流通適正化法では、市場に出回るナマコに漁獲番号を付け、取引記録を追跡して不正な流通を監視できるようにしているが、逮捕された1人は漁師で漁獲番号を付け市場に卸すことができた。もう1人は、陸地から海上保安署の巡視船を見張って無線機で連絡を取っていた」(水産庁関係者)
また9月6日には、青森県蓬田村の沖合で300キロのナマコを密漁したとして昨年4月に8人の男たちが逮捕された事件で、新たに青森市の会社員ら4人が逮捕された。容疑者らは暴力団と共謀して、時価145万円相当のナマコを密漁した疑いが持たれている。
「ナマコの漁獲高が多い北海道でも密漁が絶えず、暴力団の資金源になっています。処理水海洋放出による中国の水産物全面禁輸で、密漁は激減すると思われがちですが、反対に禁輸で中国国内の需要は高まっており、ナマコの密輸増が危惧されているのです」(警察関係者)
まさに海の黒いダイヤだ。
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