岸田文雄 (C)週刊実話Web 
岸田文雄 (C)週刊実話Web 

内閣再改造も岸田首相は自滅の道へ!? 茂木氏を押さえ込みポスト岸田を“総潰し”

第2次岸田文雄再改造内閣と自民党執行部の新体制が発足した。全19閣僚のうち11人が初入閣で、女性閣僚は過去最多と並ぶ5人だというのに枢要なポストを留任させたため、代わり映えのしない布陣となった。首相の狙いは、来年9月の任期満了に伴う自民党総裁選に勝つこと。国民そっちのけの「内向き内閣」の全容を暴く。


9月11日、首相はインドで行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を終え、帰国した。その後、党本部に入り、向き合った茂木敏充幹事長にこう告げた。


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「小渕優子さんを選対委員長に起用したい」


党関係者によると、このとき茂木氏の顔は一瞬こわばったという。権謀術数が渦巻く永田町において、茂木氏が首相の意図を感じないはずはなかった。


小渕氏の重要ポストでの起用は、かねて森喜朗元首相から頼まれていた。それは、小渕恵三内閣と森内閣をまたがる形で、官房長官として支え6月に死去した青木幹雄元参院議員会長の遺言でもあった。小渕氏はいわずと知れた小渕恵三元首相の次女。同じ平成研究会(茂木派)で、青木氏は小渕氏をかわいがった。


首相は青木氏の遺言でもある森氏の意向を当然のように受け入れた。


総裁選で勝利するには、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)を事実上取り仕切る森氏を敵に回すわけにはいかない。むしろ、意向に従い、小渕氏を処遇したほうが、ポスト岸田をうかがう茂木氏への牽制になる。首相はそう考えた。

茂木氏には出て行ってもらい…

ただ、小渕氏には2014年に関連政治団体の政治資金収支報告書の虚偽記載などが発覚し、経済産業相を辞任した過去がある。そのことが蒸し返される懸念があった。

「説明責任を果たさなくても済むポスト。それは定例記者会見がない選対委員長にほかならない。次期衆院選の選挙区調整はほとんど終わっているとあって、小渕氏にとって実に都合がいい。首相はいち早くこのポストに小渕氏を就けることを決めた」(政治担当記者)


茂木氏が総裁選出馬に向け寝首を掻こうものなら、小渕氏を幹事長にする。「小渕選対委員長」には、そんな脅しにも似たメッセージが込められている。


しかも、茂木派内は青木氏亡き後でも、青木氏の影響力が残っており、参院茂木派は茂木氏より小渕氏を支持する声が根強い。茂木派のある参院議員は「茂木氏はさっさと派閥から出て行ってもらい、小渕派にしたほうがいい」と語る。そう言われるほど茂木氏には人望がないのだ。


首相は、さらに手を打った。シングルマザーの愛人との隠し子報道や、妻の元夫の「怪死」をめぐる疑惑などで、官房副長官を外れた木原誠二衆院議員の幹事長代理への起用だ。木原氏は首相の最側近である。


北朝鮮の監視役よろしくとばかりに、木原氏は今後、茂木氏を支えるふりをしてその行動をしっかり監視することになろう。「友を近くに置け、敵はもっと近くに置け」。映画『ゴッドファーザーPartⅡ』で、主人公のマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)が父親から教わったと語るセリフだ。孫子の兵法書に出てくる格言でもある。


このセリフを地で行き、小渕、木原両氏という〝コマ〟を使って、茂木氏を精神的に羽交い締めにする。首相のいやらしい性格がにじみ出ている。

「ポスト岸田の芽を摘んでしまえ」

もう一つ、首相のいやらしさを感じさせる人事が、同じくポスト岸田を狙う河野太郎デジタル相の留任だ。

河野氏はトラブルが相次いでいるマイナンバーカードの総点検に当たっている。総点検完了の目標時期は11月末だが、政府や自治体からは11月末の完了を危ぶむ声が絶えない。


厚生労働省からは「ひも付けのミスがあればその都度、直していくしかない。大量のデータを点検することほどコストパフォーマンスが悪いものはない。通常業務に支障が生じている」(幹部)との悲鳴が漏れる。


交代させたところで、問題が解決するわけでもなく、河野氏に最後まで責任をもって対応してもらおうという判断になった。


マイナ問題をめぐっては、すべての国民が納得する形で決着するのは、極めて困難であり、かつ時間がかかりそうだ。岸田首相の命運を握るアキレス腱と言える。国民からなかなか理解されないのなら、河野氏を道連れにする形で、「ポスト岸田の芽を摘んでしまえ」。そんな思惑が透ける。


茂木、河野両氏、高市早苗経済安全保障相ら岸田首相の後継を狙う面々を政権内に閉じ込めたのに対し、閣外に追い出したのは、同じ派閥内のポスト岸田候補である林芳正前外相だ。


林氏は今月、ウクライナのゼレンスキー大統領と会ったばかりだというのに、同じ岸田派でしかも女性ということで、上川陽子氏に外相ポストを譲る形となった。もっとも、「林氏に外交で実績を重ねて力を蓄えてほしくなかった」(全国紙政治部デスク)というのが首相の本音だとか。


首相は「外交の岸田」を自負するが、林氏のほうが英語は堪能とあって、お株を奪われかねないという思いがあるようだ。


人事の全貌を見るにつけ、ケツの穴の小ささばかりが目立つ岸田首相。各報道機関の世論調査でも、政権浮揚にはつながっていないのは明らかだ。求心力の低下は避けられず、このままでは衆院解散もできないだろう。残るは「自滅への道」一択ということか。