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命を守るため今すぐ備えるべき…自宅はもちろん避難所でも重宝する『最新・防災グッズ』

Roman Samborskyi
(画像)Roman Samborskyi / shutterstock

南海トラフ地震の発生率は「30年以内に70%」といわれているが、わが国が被る天災はこれだけではない。毎年のように襲い来る台風や集中豪雨、近年問題視され始めた山火事などへの備えも必要だ。関東大震災から100年の節目を迎えた今、誰もがこうした自然災害への備えを考えるべきなのだ。

そこで、どんな備えが必要かを総務省消防庁に聞いてみた。

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「最低限必要なものは、印鑑、現金、救急用品、貯金通帳、懐中電灯、ライター、缶切り、ロウソク、ナイフ、衣類、手袋、毛布、ラジオ、ヘルメット、防災ずきん、電池、水、食料品など。ただ赤ちゃんがいる家庭は哺乳瓶が必要ですし、高齢者のいる家では備えも違ってきます」(広報担当者)

政府の広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」を基にさらに説明すると、まず「家の中で救助が来るまで数日過ごせる備蓄品」と「避難場所に移動して過ごすための持ち出し品」の2種類を備える必要があるという。

災害時はインフラの復旧や救援体制の整備が最低でも3日程度かかるといわれており、この間は自力で生活できるように必要なものを備蓄しておくことが大切だ。例えば、飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分を用意すること。ただ、避難時には1人当たり500ミリリットルのペットボトル2本を持ち出すくらいで十分だという。

25年も保存できる災害食に革命

家で食べるなら食料品もレトルトや缶詰中心で構わないが、避難時には備蓄用パンやビスケットなどが軽くていい。19年に千葉県に甚大な被害をもたらした台風15号で、停電に苦しんだ加藤さん(仮名)は、こう話す。

「災害時はスマホの使用が増えるため、乾電池式のモバイルバッテリーを用意しておくといい。手回し充電器やソーラー式充電器もあれば便利です。懐中電灯は両手が自由になるヘッドランプがお薦め。なお、ロウソクは火災の危険性が高く、避難所では使用できません。停電したコンビニでは、現金の小銭が必要です」

また、被災地を数多く取材してきた全国紙の記者によれば、「水洗トイレが流せないのは想像以上に深刻で、非常用の簡易トイレは絶対に用意しておくべき」「温かい食事のとれるカセットコンロも必須」だという。

もっともここ最近、防災グッズは急激な進化を遂げているという。保存食といえば乾パンが代名詞だったが、今の非常用食パンは甘みも十分で食感もふわふわ。水分を含んだ缶詰やパウチのパンが登場し、災害食に革命が起きているのだ。

また、こうした備蓄用缶詰は急激に増えており、今ではカップヌードルやおにぎり、たけのこご飯、カレーライスと何でもござれ。しかも、今までは保存期間が5〜6年のものが多く、定期的に買い替えが必要だったが、25年も保存できる『サバイバルフーズ』シリーズが登場している。

防災士の資格を持つ雑誌記者が説明する。

「同シリーズにはシチューや雑炊など5種類あり、缶切りが付属されている。小缶(2.5食分)で3500円とやや高めだが、保存期間を考えたらむしろ安いかも。今では水にも保存期間15年の商品があり便利です」

水といえば、ペットボトルを常備している家庭が多いが、飲料に適さない水を浄水して飲むことができるストローも人気を博しているという。それが携帯型浄水器『mizu-Q』で、湖や川、お風呂、プールなどの水でも利用可能だ。

100円ショップも万能

災害時には乾電池も必需品だが、水電池『NOPOPO』というユニークな商品がある。本体に穴が開いており、そこから水を入れると発電する。電池が弱くなってきても再度注水すれば繰り返し使え、ビールやジュース、唾液、尿でも発電するという優れものだ。

また、防寒具として定番のアルミ毛布は軽くて便利な半面、肌触りが悪くて眠りづらい。そこで、普段はクッションとして使うことができ、いざというときにファスナーを開けて広げると寝袋になる商品がある。

「枕付きの『SONAENO クッション型多機能寝袋』がお薦め。フードも付いているので顔を隠すこともできる。避難場所で着替えるためのスペースとして使うこともできる」(同)

一方、災害で断水や節水生活が続くと頭皮の汚れが気になるが、水を使わずにシャンプーできる手袋があるという。

「『水のいらない泡なしシャンプー ウェット手袋』という商品で、手袋をはめて頭皮をマッサージするように拭き取るだけで汚れが落ちる。いつでもどこでも簡単に髪を洗うことができ、すすぎも不要という優れものです。防災以外でも病院の介護やアウトドアなどでも使えると人気になっています」(同)

ちなみに、防災グッズは100円ショップだけでもかなり揃えられるという。

「例えば、首相官邸が公開している『災害の備えチェックリスト』を参考に、非常持ち出し袋に必要な品物を探したところ、1店舗で6割以上購入可能なことが判明した。天災はいつ来るか分からない。お金ができたら揃えようと考えるのではなく、できうる限り早く、今できる備えをしておくのが肝心なのです」(防災ジャーナリスト)

備えあれば憂いなしだ。

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