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背広にサインしてくれた青木功さん~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七
島田洋七 (C)週刊実話Web

夏になると、俺が住んでいる九州ではKBC九州朝日放送主催の『オーガスタゴルフトーナメント』のCMが流れるんです。それを見る度に思い出すのが青木功さんですよ。

石川遼君が大人気だった頃、オーガスタの前夜祭に招かれたんです。昼間は、芸能人とプロゴルファーでコースを回ることになった。俺は、プロゴルファー2人と関係者の方の4人で回ったんです。でもね、俺はゴルフを年に1~2回しかプレーしない上、そのときは4年くらいゴルフをまったくしていなかったんです。


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そんなことを話しながら、第1ホールで俺は生まれて初めてのパー。プロゴルファーから「洋七さん、4年もやっていなくてパーなんて嘘でしょ?」「いや、本当やって」。続く第2ホールで、今度はバーディー。またも「絶対に嘘でしょ? 相当プレーしてますよね」「いやいや、本当にやってへんのよ」。

案の定、第3ホールからは、6打、7打、8打と叩きましたよ。通常通りの俺に戻ったんです。最終ホールでもやはり8打叩き、「これが俺の実力なんですよ」と言うと、「いや、わかりますけど、4年ぶりのコースでパーとバーディーを続けて出すのは奇跡に近いですよ」とプロゴルファーから褒められたんです。

そして夕方にパーティーが開かれた。予め、10分くらいの挨拶をしてほしいとお願いされていたから、講演会でもよく着ているブルーのスーツで登壇。初めこそ「今日はプロゴルファーの方とプレーできて楽しかったです」と話しましたが、10分も持たないから漫談で会場の爆笑を誘いました。

クリーニングから戻ってきたら…

無事に挨拶を終え、会場を見回すと青木功さんの姿がある。青木さんや中嶋常幸さん、ジャンボ尾崎さんの活躍で、日本でもゴルフブームが起きたでしょ。青木さんに駆け寄り、「ここにサインしてください」。色紙なんて持ち合わせていないし、スーツの裏側が白だったから、思わずそこを指差すと青木さんもビックリしていましたね。

「背広にするの?」「はい。一生の思い出になりますので」「背広にサインするのは僕も初めてだよ」。青木さんにサインをしてもらい、嬉しくて一緒に記念撮影までしてもらいましたよ。

数日後、友だちが自宅に遊びに来た。その友だちはゴルフが大好きだったから、青木さんのサインを見せようと思ったんです。実は、講演会で衣装にしているスーツは、同じものを何着か持っているんですけど、舞台上でしか着ないから、2~3回着たらクリーニングに出していた。青木さんのサインが入ったスーツも襟が少し汚れていたので、クリーニングから戻ってきたばかりだった。

友だちにサインを見せるためクリーニング屋のビニールから出すと、サインが消えていた。パーティーで、咄嗟に借りたマジックペンが水性だったんです。

友だちからは「嘘ばっかり」と呆れられたから「嘘やないって。書いてあったよな?」と嫁さんにも振ると、サインはあったと断言。そうしたら「夫婦揃って嘘つかなくても」と言われてしまってね。情けなくなりましたよ。

またどこかで青木さんに会えたら、サインがほしいなとオーガスタのCMを見る度に思い出しますね。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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