日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『オオキンブナ』岐阜県瑞穂市/天王川産~日本全国☆釣り行脚

人生2回目の熱中症になりました。前回の熱中症は高校1年のときなので、甲子園風に言えば〝32年ぶり二度目の熱中症〟です。前回は鹿児島県の久志という所で、ポンカン農園の作業中にブッ倒れました。あのときの吐き気と、頭から足の先までの激しい全身痙攣は今でも忘れられません。


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さて今回。ワーキングプアのワタクシにとって、夏休み期間中の旅の強い味方といえば〝青春18きっぷ〟です。全国のJR線の普通&快速列車が乗り放題という切符で、別に18歳でなくとも、ワタクシのような小汚いオッサンでも利用できます。


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この切符を使って普通列車にて名古屋へ。安宿に1泊して、翌朝、早い時間の列車で最初の釣り場となる、岐阜県瑞穂市の天王川へと向かいます。穂積駅で列車を降り、ポイントまでは徒歩15分ほど。ジリジリと強烈な朝日が照りつける中、釣り場に到着。実績を聞く釣り場ではありませんが、こうしたほぼ実績の聞かれない名もなきドブの方が、かえってソソられるというのは、個人的な気質かと思われます。


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炎天下の中を歩いてポイントを探し歩くうちに、よさげな排水口を発見。早速、ウキ仕掛けにミミズをエサにして流してみます。と、ズモ〜とウキが沈みあわせると結構な重量感。バスかナマズを期待して慎重なやりとりの末、玉網で取り込んだのは35センチ近いオオキンブナでした。ドブのフナを食べるのもアレですが、せっかくなのでビクに入れ、さらに釣り続けます。


オオキンブナ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

その後はポツポツとオイカワのアタリがあり、汗だくになって夢中で釣るうちに、目まいと指先のつりが感じられるようになりました。時間もお昼近いことから、いったん竿を納めて駅に向かいます。フラフラと炎天下を歩いて穂積駅より電車に乗り込みます。

いけるのか?第2ラウンドへ

クーラーの効いた車内で幾分落ち着き、名鉄岐阜駅周辺の喫茶店で涼をとるうちに「ちょっと釣り足りないし、まだイケるんじゃなかろうか」と、今思えばアホな考えがよぎります。再び道具を担いで名鉄電車に乗り、2駅隣の茶所駅で下車。歩いて3分ほどの新荒田川で第2ラウンドです。

ウキ仕掛けにサシ(ウジ虫)で流すと適度にアタリがあって、小気味よい手応えでスゴモロコが釣れます。キラキラと輝くこの魚は、個人的に好きなこともあり「ちょっと30分くらい…」と釣りを続けるうちに、流芯を流せば鋭い手応えでオイカワも交じってついつい夢中になってしまいます。


スゴモロコ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

気がつけば2時間ほどが経過。急な目まいと吐き気に見舞われました。ヤバい、やり過ぎた! と思っても後の祭り、指先と足の激しいつりも加わります。まだ写真を撮っていなかったことを悔やみつつ、吐き気をなんとか我慢して竿を出し、釣り風景をパシャリ。そしてスゴモロコを釣り上げ、もう1枚。ほんの30分のつもりだったので、あろうことか飲料は底を突いており、魚保存用の氷を首筋に当ててなんとか意識を保ちつつ片付け。吐き気に加え、朦朧とする中でヨロヨロと歩いて駅へと向かいます。


這々の体で駅にたどり着くと、駅の隣に立つ古びた洋品店の前の自販機が目に入りました。ところが、古い自販機なのか、ウンともスンとも言いません。ここで力尽き、四つんばいになってしまいました。

意識は朦朧ギリギリ車内へ

ちょうど店先に店主とおぼしきおばあさんが出てきたので、途切れ途切れに事情を説明し、麦茶を1本購入したい旨を話しましたが、「おかしいわねぇ…」を繰り返すばかりです。人さまの店先でオッサンが四つんばいになっているのも迷惑な話ですし、事態が改善する希望もないので最後の力を振り絞って駅へ。幸い、すぐに電車が来てくれて倒れるようにシートに座り込みました。

クーラーの効いた名鉄電車で尾張一宮まで。ここからJRに乗り換え、まだ若干の吐き気と、朦朧とした感はありますが、尾張一宮駅で購入したスポーツドリンクを飲み、冷えた車内で回復を図ります。幸い、青春18きっぷで各駅停車の旅ゆえ、時間はたっぷりあります。2〜3時間ほど乗車しては乗り継ぎ、その都度ドリンクを飲み…を繰り返すうちに、冷えた車内で少しずつ回復。帰宅する頃には手足のつりと、声がしわがれて出ないことを除いて、ほぼ回復に至りました。


オオキンブナの煮付け 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、オオキンブナを煮付けにして晩酌をしつつ、改めて今回のことを振り返ると、分かっているつもりでも過信、油断がありました。何より初期症状が出ているのに釣り続けるなどは愚の骨頂。大いに反省です。まだまだ酷暑は続きそうですし、皆さまも熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さいませ。初期症状のあと急にヤバくなります。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。