蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~自然体で自分なりの年の取り方を

フリーアナウンサーの宮根誠司さんが離婚したと報道された。記事によると、特に夫婦間に問題があったというわけではなく、宮根さんが今年の4月に還暦を迎えるにあたり、身辺整理を含めた「終活」的な意味合いが強いという。


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俺も宮根さんと同じ1963年生まれで、還暦を迎える。でも、ウチはまだ子育て中だから離婚や終活なんて考えたこともない。ただ、背負うものを下ろしていこうという心境になっている同年代は増えているのかもしれないね。


俺は会社を経営していて、社員もいる。それを重荷に感じたことはないけど、俺が降りてもみんなが食っていけるような形は作っておきたい。そのためにもいろいろ準備をしておかなきゃいけないんだけど、それがなかなか出来ていないんだよね。特に、俺のキャラクターありきでやっている仕事に対して、俺が抜けたときの準備というのは考えていかなきゃいけない。


ボランティアや啓発活動も、俺が動けなくなったらやり方が変わってくる。そのあたりもしっかりチームを作って、ずっと続けていけるような体制にしたいね。


俺は生涯現役でやっていくつもりだけど、現実的にはそんな「もしも」のことを具体的に考える年齢になったかもしれない。社会的にもそういう流れだよね。


ウチの会社で事務をお願いしている女性は75歳を超えてるんだけど、いつも元気で仕事もしっかりやってくれている。ただ、労務から、彼女はもう社会保険には入れないと言われた。この年齢になってくると、高齢者向けの健康保険になるそうだ。つまり、社会がもう労働者として認めてないということだよね。

俺なりの60代を…

やっぱりカネ関係は年齢にシビアだよ。俺にも住宅ローンの組み換えの話とかがよく来るんだけど、やっぱり60歳がボーダーライン。ここを超えると生命保険が効かなくなるとか、いろいろ条件が変わってくる。

俺が保証人となる形の融資や借り入れも審査が厳しくなる。だから、カネを借りられるのも59歳までと覚えておいたほうがいいよ。


とにかく、60歳を機にいろいろなルールが変わっていく。こうなったら、高齢者としての自覚を持って、高齢者に向けたビジネスをやっていくしかないね。


武藤さんもそんなことばかり考えていて、以前は『プロレスリング マスターズ』という形でベテラン選手や往年の外国人選手を集めて興行を打っていたけど、今はさらに動けなくなってるし、引退した選手も増えてレスリングもできないから、運動会でもやって客を入れようと話していた。玉入れとか、パン食い競走は盛り上がるんじゃないかってね。俺は保険会社と組んで、出場選手たちに保険を掛けるビジネスでもしようかな。あとはお墓のスポンサーをつけるとか(笑)。


プロレス界の先輩たちは、まだ現役で試合している方もいるし、引退してもそれぞれの年齢の重ね方をしていてみんな独特だよ。長州さんだって、あんな感じになるとは思わなかったからね。だからこそ俺は俺にしかできない還暦を迎えて、俺なりの60代を過ごしていくしかない。その上で、いままで続けてきたことを、どう繋げていくのか。方向性はいろいろあるだろうけど、あまり肩に力を入れず、自然体でやっていきたいね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。