日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『マアナゴ』愛媛県松山市/三津産~日本全国☆釣り行脚

先だっては、お手軽な離島の釣りということで松山市は興居島へ釣行。陸の高浜から島の由良までの運賃が、250円とリーズナブルなのがありがたいかぎりでした。そして今回もまた、釣り場までは船を利用します。しかも運賃は無料。陸からの釣りですが、船を利用した方が歩かなくてすむ釣り場なんですな。


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ということで、伊予鉄道郊外電車の港山駅を降り、歩くこと1〜2分ほどで、静かな入り江のほとりにある小さな桟橋に出ます。対岸には小船が見え、桟橋に立つと小船がこちらに向かって近づき、ゆっくりと着岸。小船に乗り込むとゆっくりと旋回し、対岸まで僅かな時間の船旅となります。


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この〝三津の渡し〟。航路は市道扱い、船も市営ゆえ乗船料も無料というありがたい渡し船なのであります。電車利用で三津ふ頭で釣りをする場合、伊予鉄道の三津駅から歩いても行けるのですが、港山駅からこの渡し船を利用した方が断然、楽に行けるんですね。


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さて、今回は夜の三津ふ頭でクロダイでも…と考えていたところ、渡し船に乗った際に桟橋周辺の浅瀬に池のコイのごとく群れるクロダイを目撃。こんな無警戒にウジャラといるのならこれはもう釣れたも同然と、三津の渡船場横に続く護岸からチョイ投げで狙ってみることにしました。


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歴史を感じさせる立派な木造家屋が並ぶ静かな入り江はなんとも趣があり、静かな水面を時折、小船が滑るようにゆっくりと出入りします。対岸との小船の渡しといい、若い頃にカレイ狙いで通い詰めた浦賀(神奈川県横須賀市)に似ているなぁ…などと思いつつ、日没までにはまだ少し時間もあることから、ゆっくりと準備を進めます。おそらく、勝負は暗くなってからでしょうから…。 情緒ある街でアナゴ好釣

安物のコンパクト竿を3本並べ、のんびり待つうちにやがて日没となりました。エサのアオイソメを活きのよい物に付け替え、竿先にアタリを取るため発光体を取り付けて準備万端。暮れなずむ静かな入り江でアタリを待つ時間がまたよいもので、完全に暗くなった頃、1本の竿にアタリが出ました。ミンッ! ミミンッ! と断続的に揺れる竿先の発光体。クロダイであれば一気に竿先を絞り込むようなアタリが多いですから、おそらくは違う魚でしょう。


マアナゴ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

適当な頃合いを見て竿を手に取ると、ククンッ! と生態反応が伝わり、そのまま竿を煽り、巻き上げた仕掛けに付いていたのはマアナゴです。大きさこそそれほどでもありませんが、むしろアナゴはこのくらいが食べ頃。これはいい肴が釣れたわい♪ とクーラーボックスにしまい、釣りを続けます。


マアナゴ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

渡船場で見たクロダイの数や無警戒ぶりなどから、割と容易に釣れるかと思われましたが、時折、竿先を揺らすのはアナゴのみ。もう5本は釣ったでしょうか、食べるには十分ですしクロダイを狙って移動するべく竿を上げると、適度な重たさで6本目。アナゴの魚影は安定していますな。


時計を見ると21時半を過ぎており、今から三津ふ頭で竿を出しては終電に間に合いません。そこで、もう1カ所気になっていた、この奥深い入り江の一番奥の流れ込み周辺を探ってみることにします。これなら三津駅からも近いので、帰りがけに竿を出す感じで30分くらいは楽しめるでしょう。

終電時間までつい夢中に…

夜の静かな暗い小道を三津駅方面に向かって歩くこと10分ほど。入り江の最奥に到着すると、常夜灯に照らされた淀んだ水面にはボラの泳ぐ姿が見てとれ、わずかに漂う生活排水臭がなんともよい雰囲気です。早速、流れ込みから続く、小船が係留された護岸を探っていきます。おそらく攻める人も少ないだろうから、何かは居着いているはず。あわよくばクロダイも…と静かに仕掛けを落とし込むうちに、コンッ! アタリが出ました。

メバル 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

やっぱりいたかと、そのまま待つうちにグンッと竿先が絞り込まれ、鋭い手応えが伝わります。抜き上げてみると掛かっていたのはクロダイではなく、20センチほどのメバルでした。旨い魚ではありますが、今日はアナゴのお土産を確保していることからリリース。再び護岸を探りますが、程なくのアタリで釣れたのは、またしても同じくらいの大きさのメバルです。ここで時計を見るともうすぐ22時半。つい夢中になってしまい、終電まであと5分ほどです。慌てて竿を畳み、駆け足で三津駅へ向かい、ほとんど乗客のいない終電に乗り込んだのでありました。


アナゴの煮物(上)と天ぷら(下) 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、持ち帰ったアナゴは煮アナゴと天ぷらで賞味です。40㌢ほどと釣るには少し物足りない大きさですが、食べてはやはりこの大きさが旨いもの。骨も当たらずアナゴらしい甘味の感じられる天ぷら、煮アナゴは共に美味しくビールも進みます。


本命のクロダイには出会えずでしたが、最後によいメバルとも遊んでもらえ、おかずということを考えれば、旨いアナゴにもありつけたのですから、これはこれで充実の夜釣りとなりました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。