(画像)Conor P. Fitzgerald/Shutterstock
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大谷翔平“二刀流消滅”の危機…手術で完治しても今後は打者出場メインか

「二刀流」継続の大ピンチとなった――。「投手・大谷」の右ヒジ靱帯の再損傷が公表されたのは、現地時間8月23日に行われたレッズとのダブルヘッダー終了後だった。


「ダブルヘッダー第2試合に大谷はDHで出場しました。5打席に立ち、しっかりフルスイングしていたので、大したケガではないだろうと、会見前はそう予想されていました。大谷は試合に出たいとの思いが強い選手であるにもかかわらず、第1試合で自ら首脳陣をマウンドに呼び、交代を申し出ました。この姿を見た関係者から、『ただごとではない』と心配する声も聞かれました」(現地記者)


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エンゼルスのペリー・ミナシアンGMが会見を開き、大谷翔平(29)が緊急降板した件について説明した。「右ヒジの靱帯損傷」、そう明かしたうえで、さらに「投手として今季はもう投げない」とも明言した。


「投手・大谷の防御率は、トップと0.14差のリーグ4位でした(同時点)。打者・大谷は本塁打王争いでトップを独走中です。投打のタイトルを同時獲得する可能性もあっただけに残念です」(スポーツライター・飯山満氏)


ミナシアンGMは主砲のマイク・トラウト(32)も故障者リスト入りしたことも伝えていた。これで、今季のポストシーズンマッチ進出を諦め、今季のエンゼルスは完全に終わったと受け止めたファンも少なくない。また、アメリカのメディアが同時に伝えていたのが、去就問題だ。「史上最高額5億ドル以上」(約728億円)といわれた争奪戦も、下方修正されるだろう。


「争奪戦から撤退する球団も出てくるでしょう」(前出・現地記者)


大谷の今後だが、セカンドオピニオンを求めてから治療方針が決められる。


「再手術でしょう。前田健太のオペが参考にされそうです。自身の靱帯と人工靱帯を合わせたやり方で、人工靱帯を使った方が治りも早いそうです」(同)


「治る」の声が聞かれたのは安心材料だが、本当に心配なのは、去就問題でもなければ、投手としての復帰時期でもない。「二刀流」のこれからだ。


「試合前の練習中、大谷の〝二の腕〟がよく話題になっていました」(米国在住ライター)

投手と打者の両方を極めようと…

オフのトレーニングの成果で太くなっただけではなく、血管や筋肉も浮き出ている。キャッチボール中のその剛腕を見て、「特大ホームランが出て当然」と、対戦チーム側の選手、首脳陣がうなずいていた。だが、同時に、首を傾げる選手たちもいたそうだ。「あんなに太くなったけど、ピッチャーを続けていけるのか?」と…。

「投手としては、太すぎる腕だとも言っていました。腕が太く、重たくなれば、その分、スタミナを消耗して非効率になりますから」(同)


「打者・大谷」にはパワーが必要だ。一方の「投手・大谷」が持続しなければならないのは、しなやかさとスタミナ。二刀流とは、そんな相反する真逆を向いたものでもあったのだ。


「今季、ホームラン量産態勢に入った分、投手として無理がたたったのかもしれません」(同)


大谷は投手と打者の両方を極めようとしている。今回のケガは、その結果が招いたものでもあるようだ。


「人為的なケガだとの指摘も聞かれました。首脳陣、エンゼルスの医療チームの甘さです」(同)


現地時間7月27日のタイガースとのダブルヘッダーで、大谷は右腕の筋肉の痙攣を訴えた。翌日のブルージェイズ戦でも両足が痙攣し、8月3日のマリナーズ戦では右手と指の痙攣を明かしていた。腕の疲労で登板回避となったのは、8月16日。「この時点で気付かなかったのか?」というのが、アメリカのメディアとファンの疑問だ。


「ある日本球団の投手が、腰が痛いと思っていたら、肩やヒジに大きな故障を抱えてしまったと告白しています。大きな故障をしてしまうとき、体の別の箇所に今まで経験したことのない痛みが生じるのだそうです」(前出・飯山氏)


痙攣の段階で、フィル・ネビン監督(52)は「大丈夫そうだ」とコメントしていた。真相を隠したのかもしれないが、腰や腕の痙攣を訴えた際にメディカル・チェックを徹底させておけば、大事には至らなかったのではないだろうか。


試合前、大谷は重さの異なる6種類のボールを使ってキャッチボールをする。右ヒジのあたりにストレス値を計測するサポーターもつけているが、これはシアトル郊外のベースボール・トレーニング施設で学んだケガ防止法だ。大谷なりに最善を尽くしたのは間違いないが、腕の太さに象徴される「二刀流の限界」についてはもう一度考え直す必要もありそうだ。


右ヒジは完治しても、今後は「打者出場」がメインになるかもしれない。