栃木県を除く10都府県の緊急事態宣言が1カ月延長された。想定内の事態だ。新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、1月5日の会見で宣言解除の時期を「2月末から3月」と口走ってしまった。その後、「国民が頑張れば1カ月で解除は可能」とトーンダウンさせたが、尾身会長の予想通りになったということだ。
そもそも飲食店の夜間営業自粛に絞った対策で、1カ月で収束させるというシナリオには無理があった。それでもメディアは、減少トレンドに入った新規陽性者数をもとに、緊急事態宣言の効果を認め、延長やむなしという空気になっている。しかし、ずるずると緊急事態宣言を続ければ、経済に大きな被害が出ることは明らかだ。そこで、なぜ緊急事態宣言が失敗したのかを検証していこう。
私は、現在の新規陽性者数の減少トレンドをもたらしたのは、GoToトラベルキャンペーンの中止だと考えている。GoToトラベルの中止後に陽性者が増えたことで、効果がなかったとの見方もあるが、1月上旬の陽性者増はクリスマス前後の人出の増加が原因だ。また、GoToトラベル利用者は移動者全体の1%にすぎないという主張もあるが、トラベルで旅行のお墨付きを与えたことが問題なのだ。
数字で見ていこう。東京都、大阪市、名古屋市、札幌市のGoToトラベルが中止されたのは12月14日出発分からだ。つまり12月13日の時点では、GoToトラベル中止の影響を受けていない。陽性者の報告まで2週間のタイムラグがあるから、12月27日が抑制策を採る前の基準日となる。
この基準日と比べると、宣言の出された11都府県(以下宣言県)の過去1週平均の新規陽性者数は、2月1日現在で108%と基準日を上回っている。クリスマス感染の影響を吸収しきれていないのだ。一方、36の非宣言県は94%と、すでに基準日を下回っている。感染が収束に向かっている理由は、GoToトラベル中止しか考えられないだろう。
GoToトラベルを安易に再開してはならない
一方、宣言県の新規陽性者数は、飲食店の夜間営業自粛とGoToトラベル中止の両方の効果を加えても、基準日を下回ることができていない。宣言県は、みな大都市だ。大都市ほど感染が収束しにくいことは、これまでの研究で明らかになっている。
だから、飲食店の夜間営業自粛よりもっと強い自粛を求めるか、大都市の住民に対して徹底的なPCR検査を行う、あるいはその両方をすべきというのが、今回の緊急事態宣言の結果として分かったことなのだ。
政府も緊急事態宣言の延長に伴って改定する「基本的対処方針」の中で、ようやく検査体制の拡充と自粛の強化を打ち出した。
ただ、対処方針から抜け落ちている重要な点は、GoToトラベルを安易に再開してはならないということだ。GoToトラベルさえなければ、少なくとも非宣言県は、感染収束に向かっていくことがはっきりしている。
ところが、西村康稔経済財政担当大臣は「ステージ2にならなければ、再開は難しい」と発言している。ステージ2というのは、感染がゆるやかに拡大している状態だ。そんな状態で再開すれば、第4波を招いてしまうだろう。
GoToトラベル再開は感染が収束した後、つまりステージ1になってから検討すべき課題なのだ。
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