一部でカリスマ的超人気・大西ライオンインタビュー〜気付いたら〝ゴルフ芸人〟になってました〜
ライオンの被り物がトレードマーク、ご存じ「心配ないさー」で一世を風靡したお笑い芸人の大西ライオンさんが、なんと〝ゴルフ芸人〟として復活。今ではさまざまなゴルフイベントに引っ張りだこの人気ぶりだ。いったい何が起きたのか? 大西さんに意外なブレークの理由を語ってもらった。
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YouTube『ゴル配ないさー』がゴルフ愛好者の間で話題になっている。ベストスコア70の腕前を持ち、インストラクターの資格まで取得している大西ライオンさんが、さらなるスコア上達を目指して毎回真剣に取り組んでいる熱い番組だ。ゴルフをメインに据えた活動を始めるに至った経緯について聞いた。
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――『ライオン・キング』のモノマネでブレークして何年になりますか?
大西ライオン(以下、大西)「芸人になって3〜4年目ですから、かれこれ20年くらい経ちますね。というより、僕、ブレークしたっていうほど売れてなかったんですけど(笑)」
――そんなことはないでしょう。大西さんが劇団四季の舞台を見に行ったら、楽屋に呼ばれて大歓迎を受けたという有名なエピソードもありますよね。
大西「あのときは怒られると思って、めっちゃビビりました。許可なしで勝手にモノマネしてたんで。そしたら出演者の方々が『うわーホンモノだ!』って〝ニセモノ〟の僕を見て喜んでくれて。いや〜、おもろかったですね(笑)」
――本家も認めるほどの認知度だったわけですから、やはり全国区の人気だったのは間違いありません。
大西「でも、僕のすぐあとに『そんなの関係ねー』の小島よしおが出てきたでしょう。僕とは裸キャラも被ってて、あっという間に追い抜かれて仕事が激減しちゃったんですよ」
――お笑い芸人のサバイバル競争は厳しいですね…。ところで、そもそも大西さんはどうして芸人に?
大西「ちっちゃいときから吉本新喜劇を見て育ちましたから、やっぱお笑いが好きだったんです。小学校の卒業文集にも、芸人になりたいって書いてました」
――高校卒業後、東京のNSC(吉本総合芸能学院東京校5期)に入所したのはなぜですか?
大西「大阪から東京へ進出するのは時間がかかるし、それなら最初から東京の養成所に入ればすぐ活動できるんじゃないかと簡単に考えてたんです。でも、まず同期が300人もいることにびっくりして、『芸人目指してる奴ってこんなにおるんか。しかもみんなめっちゃおもろいやん』ってショックを受けて。それまで自分が一番おもろいと思ってましたから」
いきなりコースデビュー
――同期には『ピース』がいたんですよね?大西「同じクラスだけで100人ぐらいいて、その中に又吉(直樹)と綾部(祐二)もいたんです。最初、又吉は『線香花火』、綾部が『スキルトリック』っていうコンビで漫才をやってて抜群に面白かったんですよ。そのうち2人がコンビを解散して『ピース』を結成したんですけど、綾部はすぐ説教するんで嫌いでしたね。あ、今でも嫌いです。これ必ず書いといてください(笑)」
――大西さんはずっとピン芸人だったんですか?
大西「初めは『プスンパスン』というコンビで活動してたんですが、相方が辞めたいと言うんで解散して、そのあとしばらく日光江戸村にあった吉本の劇場に出てたんですけど、途中で経営方針が変わってそこもなくなってしまって。結局、一人になって一発芸としてやってみた『心配ないさー!』がやっとウケたんです。さっきは小島よしおのせいで仕事が激減したと言いましたが、実際はそれからもたまに入る営業とかテレビ出演で、どうにか食いつないでいました」
――では、ゴルフはいつから? 若手芸人の頃からプレーされてたんですか?
大西「30歳を過ぎて、だらだら入ってた仕事もいよいよなくなってきた頃、知り合いの社長さんに『明日ゴルフのコンペに行かないか』と声をかけていただいたんです。でも僕、全然ゴルフのこと知らなかったものだから『空いてますけど、コンペってなんですか?』って(笑)。そしたら道具からウエアまで一式用意していただけて、生まれて初めてだったんですけど119のスコアで回れたんです」
――いきなりコースデビューで、そのスコアですか! それはすごい。やはり天性のセンスがあったんですね。
大西「いや〜、だいぶオマケしてもらいましたから。それに僕は大阪でも田舎の方で育ったんで、小学生の頃、父親のクラブとボールを勝手に持ち出して田んぼで打って遊んでたことはあったんです。稲を刈ったあとの切り株をティーにして、『プロゴルファー猿』の気分で(笑)。でも次に『FUJIWARA』の原西(孝幸)さんに誘われたときは140くらい叩いちゃって。これじゃちょっと迷惑かけるなと思ってレッスンに通うことにしたんです」
――100を切るまでどれくらいかかりました?
大西「1〜2カ月くらいで100は切れるようになりました。で、4カ月目には70台のスコアが出て、それですっかりゴルフにハマっちゃったんです」
――70台といったらアマチュアゴルファーの夢です。しかもゴルフ歴4カ月で!? ちょっと普通じゃない上達ぶりですね。何か秘訣があるんですか?
大西「秘訣なんてないですよ。仕事がないから毎日練習に通ってただけで(笑)。もともと何でも一人で黙々とやるのが好きな性分なので、1日何時間打っても苦にならなかったんです。今もプライベートで週3回、他にYouTubeの撮影でもラウンドしてます」
ベストスコアは2アンダー(70)
――ほぼプロゴルファーみたいな生活ですね(笑)。ちなみに最近のスコアはどれくらいなんでしょう?大西「今のところベストスコアは2アンダー(70)。平均すると80台前半くらい。コンスタントに70台で回りたいんですけど、ここからがなかなか縮められないんですよ」
――ん? 大西さん、右手の小指曲がってませんか? ひょっとして練習のしすぎでそうなったんですか?
大西「これですか? 『麒麟』の田村(裕)さんとバスケットボールをやってるときに小指を脱臼して、ちゃんと治らないままゴルフの練習をしてたもので。アドレスのときに小指を絡めるでしょ、そしたら変形しちゃったんです」
――その指を見ればどれだけ大西さんがゴルフに打ち込んできたかが分かります。
大西「いや、これもたまたまで。そんな、なんかそんなふうに言われたら、僕カッコ良すぎるじゃないですか(笑)」
大西さんは2019年にUSGTF(全米ゴルフ指導者連盟)ティーチングプロ資格も取得。2年前からはYouTubeチャンネル『ゴル配ないさー』の配信開始。以来、さまざまな大会にMCやゲストで招かれるなど、ゴルフの分野で活躍の場を広げている。
この先、大西さんはどこへ向かっていくのだろうか?
――ところで大西さんはいつ頃から「ゴルフ芸人」として身を立てていこうと決心されたんですか?
大西「いや〜、自分ではそういう自覚はなかったんですけどね。吉本の大会(『G-1グランプリ吉本ゴルフナンバー1決定戦』)で優勝して賞金をいただいて、そのとき初めてゴルフで食べていけたらいいなと思うようになりました」
――それでYouTubeのゴルフチャンネルも始められたんですね。
大西「いえ、コロナで仕事が全くなくなってしまったんで、仕方なく始めたんです。動画を撮るのにゴルフ場は感染対策の上でもやりやすかったし、それが予想外に皆さんに見てもらえまして。おかげさまでいろんな大会にゲストやMCとして呼んでもらえるようになって感謝してます」
――これからどんな仕事がしたいですか?
大西「日本全国のゴルフ場を巡って、名物ホール、クラブハウスの美味しい料理を紹介するようなテレビ番組をやりたいんですよ。BSよしもとでやれませんかって会社に言ってるんですけど『スポンサーがつかない』とかで。ゴルフが好きな社長さん、これ読んだらぜひ検討してください。お願いします!」
――では最後に。仕事柄、アマチュアゴルファーとプレーをする機会が増えていると思います。もっとスコアを良くするためのアドバイスがあれば、ぜひ聞かせてください。
大西「一番は競技ゴルフに参加してメンタルを鍛えることなんですけど、誰でも手っ取り早くできることはポジティブな声かけをして楽しく場を盛り上げることだと思います。ほら、ゴルフってつい熱中して自分のプレーのことしか考えられなくなるじゃないですか。でも、みんなで楽しむことを意識すると、他の人のプレーが見えてくる。自分のプレーの参考にもなるんですよ」
(文/木村光一企画・撮影/丸山剛史)
大西ライオン 1979年、大阪府豊能町出身。吉本興業所属。NSC東京校5期生。99年から芸能活動を開始。ミュージカル『ライオン・キング』のモノマネ芸で一躍人気者に。歌とスポーツ全般が得意で中でもゴルフのベストスコアは「70」。『G-1グランプリ吉本ゴルフナンバー1決定戦』優勝2回(2019年、20年)。現在YouTubeチャンネル『ゴル配ないさー』配信中。
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