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六代目山口組“電撃人事”に秘められた「七代目体制」への布石

六代目山口組“電撃人事”に秘められた「七代目体制」への布石
六代目山口組“電撃人事”に秘められた「七代目体制」への布石 (C)週刊実話Web

六代目山口組(司忍組長)が、2月1日付で発表した新執行部体制を含む新たな人事には、神戸山口組(井上邦雄組長)との抗争終結に向けた闘志がうかがえた。

「分裂を終わらせることが大前提にあり、体制に新しい風を呼び込んだといえる」(業界ジャーナリスト)

今回の人事では、高木康男・六代目清水一家総長(静岡)と野村孝・三代目一会会長(大阪北)が若頭補佐から舎弟に直り、秋良東力・秋良連合会会長(大阪浪速)と生野靖道・四代目石井一家総長(大分)が「幹部」から若頭補佐に昇格。それに伴い、薄葉政嘉若頭補佐(十一代目平井一家総裁=愛知)が東海ブロック長を引き継ぎ、大阪北ブロック長に秋良若頭補佐が、九州ブロック長に生野若頭補佐が就いた。

また、山下昇幹部(極粋会会長=東大阪)が、髙山清司若頭をそばで支える若頭付に就任し、「幹部」に佐藤光男・落合金町連合会長(東京)が昇格したのだ。

新人事を受け、2月4日には薄葉若頭補佐が上京。六代目山口組の親戚団体である松葉会(伊藤芳将会長=東京)と、双愛会(椎塚宣会長=千葉)を訪れた。

「関東の両団体トップの誕生祝いなどでは、名代として高木会長が訪問することが多かった。その高木会長が務めとった東海ブロック長を引き継いだいうんで、挨拶のために上京したみたいやで」(ベテラン記者)

JR新横浜駅に降り立った薄葉若頭補佐は、関東ブロック所属の佐藤光男幹部、若中の浜田重正・二代目浜尾組組長(神奈川)と合流し、まず横浜市内にある双愛会の関連施設に到着。荻野典昭理事長を筆頭に、双愛会最高幹部らがズラリと出迎える中、建物内へと入っていった。次に都内へ移動し、松葉会本部を訪問。関孝司理事長ら最高幹部と挨拶を交わしたのである。

「薄葉若頭補佐は先代に当たる岸上剛史総裁体制で、平井一家の若頭に就任した。その年、地元の豊橋を荒らしとった不良外国人に対し、制裁のための銃撃事件が起きてな。指揮を執ったとして、殺人未遂などの罪に問われて服役したんや。出所した足で入院しとった先代の元を訪れ、その後、岸上総裁は安心したかのように息を引き取ったそうや。先代と同じく、司六代目体制で組長付を務めとるから、信頼は厚いんやろな」(同)

分裂終結の先を読んだ人事

新人事の意図について、さまざまな憶測も飛び交った。作家でジャーナリストの宮崎学氏はこう解説する。

「司六代目と髙山若頭の出身母体であり、六代目山口組の中核を担う三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)に近しい直系組織が上がったために、〝名古屋寄り〟の人事だとの見方もされたが、あくまで論功行賞の意味が強いのではないか」

若頭補佐に昇格した秋良会長は、分裂直後に神戸山口組傘下の四代目山健組系組員らとの衝突を受け、襲撃を指示したとして服役。昨年11月に出所した。生野総長率いる石井一家も、4年以上にわたって宮崎県内で池田組(池田孝志組長=岡山)傘下志龍会との対立を続けている。

薄葉若頭補佐の平井一家も、神戸山口組に対して厳しい姿勢を貫いている。平成30年には、傘下組員が神戸山口組・古川恵一幹部を襲撃。ケガを負わせて逮捕され、翌年には平井一家本部が何者かに銃撃を受けた。

「ヤクザの歴史とは、ケンカの歴史である。だが、昨今の過剰な暴力団排除と厳罰化、ヤクザの行動原理を理由にした上部への責任追及なども強まり、抗争には慎重にならざるを得ない。組織を守るために、イモを引いている(怖じ気づいている)と言われても耐えるしかない。そんな中でも意思を貫く姿勢を、六代目側は評価したとみえる」(同)

さらに今回の人事には、分裂終結の先を読んだ印象も受けたという。

「六代目側にとって山口組再統合は当然のことで、すでにその先の将来を見据えていると考える。いずれは、司六代目の思いを受け継いだ七代目体制、八代目体制が訪れる。それに向けた布石を打つ手を、止めるわけにはいかないだろう。山口組は激動の昭和と平成を経て、ヤクザとして形を変えながら生き続けてきた。だからこそ、今回の人事は令和時代を歩む上での第一歩でもあったといえる」(同)

次の百年に向けての確実な歩みとなるべく――

2年前に配布された山口組の機関紙『山口組新報』第18号の巻頭言にも、司六代目はこう綴っている。

《新しい時代に向き合う我々の任務と困難を考えれば、このような小事(離反騒動)に何時までも足を取られている暇はない》

また、竹内照明若頭補佐も『新報』第16号で、《次の百年に向けての確実な歩みとなるべく》と山口組の将来に触れ、力強く団結を呼び掛けていた。

一方で、六代目山口組直参で、組員の脱退を妨害したなどとする組織犯罪処罰法違反(組織的監禁)と、傷害の罪に問われた新井錠士・二代目章友会会長(大阪北)に判決が言い渡された。2月4日、大阪地裁は被害者であるA元組員の供述などを「信用できる」と評価し、新井会長に懲役2年(求刑同)、執行猶予5年の有罪判決を下したのだ。

弁護側はA元組員には「逃げる機会があり監禁には当たらない」と主張していたが、地裁は「さほど遠くない場所に組員がおり、失敗すればどんな制裁が加えられるか分からない状況だった」と判断。その上で「最高幹部らに指示した」とし、共同正犯の成立を認めた。新井会長が殴ったとする傷害の罪についても、全治1週間の軽傷を負わせたと結論付けたのだ。

「実刑判決やなかったとはいえ、一貫して無罪を主張してきた新井会長にとっては、受け入れがたい判決やったはずや。無罪を勝ち取るまで闘う意向を示しとるようやで」(地元記者)

組織の将来を見据え、六代目山口組は立ち止まらず進み続けるといえそうだ。

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