(画像)Naresh777 / Shutterstock.com
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岸田自民に最大の危機!? 国民民主代表選に前原誠司氏出馬で野党集結か

〝永田町の郷ひろみ〟こと国民民主党の前原誠司代表代行が、国民民主党の代表選(8月21日告示、9月2日開票)に出馬することを決断したことで、同党代表選がにわかに注目を集めている。前原氏が当選すれば、立憲民主党や日本維新の会と連携し、野党が集結。自民、公明両党は野党転落の危機を迎える――そんなシナリオが永田町では、現実味をもってささやかれているのだ。


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「他の野党と話し合い、候補者の一本化で与党と対峙していく状況を整備し、候補者になってくれた人を勝たせる枠組みを作る。政策本位の『非自民・非共産』の野党協力・結集を進めていく」


前原氏は代表選への出馬会見でそう語り、狼煙を上げた。立民の枝野幸男前代表は、代表時の国政選挙で共産党と連携して勢力を拡大しようとしたが、あえなく失敗。これに対し、前原氏は共産党が強い京都を地盤に生き残ってきただけあって、アンチ共産党の姿勢は徹底している。


前原氏は「今の路線だと国民民主党はなくなる。あるいは永遠に政権交代はできない」とも語り、与党との協調姿勢が目立つ玉木雄一郎代表の路線を全面的に否定してみせた。


代表選は玉木、前原両氏の一騎打ちになる見通しだ。玉木氏は立民と距離を置き、その一方で政府の予算案に賛成するなど、与党寄りの姿勢が強い。立民幹部は「自公と連立を組み閣僚になりたいんだろう」と〝野党失格〟の烙印を押す。


実際、玉木氏は宏池会(岸田派)の「中興の祖」と呼ばれる大平正芳元首相の縁戚に当たり、岸田文雄政権と親和性が高い。安倍晋三元首相も玉木氏の自民党入りを画策したことがあり、自民党からのラブコールは絶えない。もちろん、自民党が玉木氏に接近を図るのは、野党を分断するためであるのは言うまでもない。

立民と国民の再合併の可能性も!?

前原氏は、そんな玉木氏の存在をかねてから苦々しく思っていた。

「前原氏も安全保障政策では自民に近いが、自民入りする気はサラサラなく、あくまでも政権交代を目指している。玉木氏とは根本的に方向性が違う」(全国紙政治部記者)


そんな前原氏が代表選で勝利したらどうなるのか。前原氏は以前から維新とは良好な関係にあり、維新は、前原氏の選挙区である衆院京都2区に候補者を立てたことがない。


次期衆院選で国民、維新両党は候補者の一本化に向け、調整を進めることになるだろう。前原氏は立民とも候補者調整を進めたいと考えており、最終的には前原氏が「触媒」となって立民と維新をつなげることになるとの見方は強い。


維新は左派色が強い立民を毛嫌いしているが、保守系の前原氏が間に入れば、話は異なる。場合によっては、立民と国民が再合併する可能性すらある。


立民の泉健太代表はもともと国民所属で、保守系に位置付けられている。党内左派の代表格である枝野氏が今も代表であれば、前原氏と手を組むことはないが、泉氏と前原氏なら、新党までいくかどうかはともかく、連携がスムーズにいくこと請け合いだ。ちなみに、泉氏も京都を地盤としており、顔の濃さも似ているとあって、旧民主所属時代は「ミニ前原」と呼ばれていた。


そこで「三度目の政権交代を実現しないと死ぬに死にきれない」と漏らしている小沢一郎衆院議員の出番である。小沢側近が語る。


「小沢氏が狙っているのは、中小政党のトップを首相に据えて政権交代を実現させた細川護熙政権の再来です。衆院選で与党を過半数割れに追い込んだ暁には、前原氏を首相指名の候補にする戦略です。小沢氏は党内すら仕切れない泉氏を見捨てています」


ただ、前原氏主導の場合、枝野氏が反発するのは間違いない。

野党はひと塊になるか…

遡ること約6年前の2017年、民進党代表だった前原氏は東京都の小池百合子知事率いる希望の党との合流を進めたが、枝野氏は合流を拒否し、小池氏から「排除」された面々らと立民を結成した。

前原氏が国民代表となり、立民、維新、国民が糾合し、一大勢力を形成する事態になれば、枝野氏は立民を飛び出し、新党を結成する可能性がある。前原VS枝野の第2幕の幕開けと言える。


来年7月に2期目の任期満了を迎える小池氏が、再び前原氏と連携することになるのかも、気になるところだ。小池氏は3選目指して出馬するかどうか、態度を明確にしていない。


「前原氏が代表になれば、さまざまな化学反応が起き、下手すれば大混乱になるが、うまくいけば野党はひと塊になり、衆院選で互角の戦いをすることになる」(全国紙政治部デスク)


そんなシナリオに戦々恐々としているのが岸田首相率いる自民党だ。目下、岸田内閣の支持率はガタ落ちしている。マイナンバーをめぐる問題などで信頼を完全に失っており、とても衆院解散をできる状況にない。その間に野党は候補者を着々と準備することができるわけだ。


片や公明党は維新が怖くてたまらない。公明党との選挙協力を白紙に戻した維新は、公明党が候補者を立てる選挙区に容赦なく独自候補を立てる方針だ。選挙区で公明党が壊滅的ダメージを受けるのは避けられそうにない。


かくして前原氏が代表選に勝てば、自民、公明両党は最大の危機を迎えることになりそうだ。