今週は『札幌記念』を取り上げます。
《馬場傾向》
洋芝の札幌は耐久性が低く、開催が後半になるにつれ時計が掛かる。ただし最もコーナーの距離が長く、ロスなく立ち回れる内有利のコース。また、この週からCコースに替わることもあり、最後の直線で内~中目を通す馬の活躍が目立つ。
【関連】JRA重賞『エルムステークス』(GⅢ)美人競馬研究家・山崎エリカの「負けない馬券」 ほか
《ペース傾向》
過去10年の平均5F通過が59秒7。最も遅かった年でも60秒7で大半は59秒台半ば~後半と、極端なスローペースになりにくい。この傾向は馬場が悪化しても変わらないため、悪化するほどペースが速くなり前が苦戦している。稍重で行われた2018年、久々にマカヒキが追い込んで2着に入ったことが記憶に新しい。
《脚質傾向》
過去10年の3角先頭馬は、ネオリアリズム(1着)、パンサラッサ(2着)、ソダシ(1着)の3頭だが、この3頭はその後のGⅠ馬。一方、差し馬は1着2回、3着5回、4着4回と活躍しており、逃げ馬はよほど強くないと逃げ切りが難しく、後半型が有利となっている。ただし、3~4角で外を回った馬は苦戦の傾向だ。
格の違いを見せたいシャフリヤール
★ラーグルフ
昨秋の3勝クラス・甲斐路ステークスでOP級の指数を記録して本格化を示すと、中山金杯を優勝。さらには強豪ぞろいの中山記念でも2着と好走した。同レースでは中団やや後ろの外を追走し、4角から動いて、直線の大外から伸びて0.2秒差。4角から直線にかけてかなり外を走らされたことを考えると、好内容だった。前走の大阪杯は前有利の流れを後方3番手、4角では最後方からの競馬で能力を出し切れなかったが、立て直されての巻き返しに期待が高まる。
★ソーヴァリアント
一昨年と昨年のチャレンジカップを連覇。一昨年の同レースは、二の脚でハナに立つ勢いだったが、内からハナを主張する馬に行かせてその外2番手を折り合い重視で追走。楽な手応えで4角を回って直線序盤で先頭に立つと、そこから突き抜けて3馬身半差で快勝した。前に行く競馬で最速の上がり3Fタイムを記録しているように、とても強い内容。記録した指数もGⅠ級のものである。休養明けの前走・鳴尾記念は掛かり気味の競馬で崩れたが、ひと叩きで折り合いが付けば、一気の前進が期待できる。
★シャフリヤール
一昨年のダービー馬で、昨年のジャパンカップでは2着と、ここでは実績上位の存在。同レースではやや出遅れて、そこから中団馬群の中目に突っ込んで追走。3~4角の外から動いたダノンベルーガをマークし、同馬を追い駆けて直線へ。ラスト2Fで外に出して先頭列まで上がったが、3~4角の内目から直線で中目を捌いて上がったヴェラアズールにラスト1Fで差された。しかし、このレースは3~4角で内を立ち回った馬が上位入線しており、ここでかなり外を通った本馬はとても不利だった。日本国内の芝中距離では、格の違いを見せたいところ。
山崎エリカ
新潟県出身。類いまれな勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性競馬研究家。独自に開発した「PP指数」を基にした予想をnetkeiba.comの『ウマい馬券』で掲載。おもな著書に『全106コース対応 山崎エリカの逃げ馬必勝ナビゲーション』(ガイドワークス)。公式ツイッター=@_yamazaki_erika.
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