
『世界で一番しあわせな食堂』
監督/ミカ・カウリスマキ
出演/アンナ=マイヤ・トゥオッコ、チュー・パック・ホング、カリ・ヴァーナネン、ルーカス・スアン、ヴェサ=マッティ・ロイリ
配給/ギャガ
コロナ自粛に入ってからというもの、テイクアウトで行きつけのお店を支えたり、出前でさまざまな料理を注文したりしています。当然、料理を作ることも多くなり、私は、今まで作ったこともないオーブン料理が得意になりました。
人間、食べないと元気が出ないし、料理は生きるために必要なもの。未知なる味を求めて、〝いろんな料理を楽しむことが趣味!〟という方々も多くいます。ちなみに私はスウェーデンにいたので、日本に来たときは驚きの連続。お刺身なんて、〝えっ!? 生の魚でしょ〟と抵抗感丸出し。豆腐にいたっては、〝味がない食べ物〟と思っていたし、かき揚げにも〝一体、何が入ってるの!?〟と、すべてが疑心暗鬼。今となっては笑い話ですが、それくらい国が違えば食文化も違うのです。
そして、食べものといえば〝おいしい映画〟もいっぱい存在します。これまで異国の料理を取り上げた作品の多くは、主人公が人生に疲れて旅に出て、そこで出会う料理に恋をして、生きるパワーをいただく…といった人生再生物語ばかりでしたが、この作品は、フィンランドの北部ラップランドに、ある人を訪ねて迷い、ある出会いから自分の国の料理を振る舞うという、まさに逆パターンなのです。
癒やされたついでにおなかが空いた!!
映画の舞台であるフィンランドは、美しい白夜と、どこまでも続く自然が魅力。そこに中国・上海からチェンと息子がやって来ます。でも、どこに行けばいいのか分からず、食堂で一息する親子。言葉は通じないけど、どうにか食堂を経営している美しいシルカに協力を得ることに成功。そしてある日、奇跡が起きます! 中国から来た観光客ツアーのバスがこの食堂に。チェンがお客さんを中国料理でもてなしたことで、その噂が広がり、中国人観光客の人気スポットになります。さらに、その出来事がきっかけで、食堂に来るフィンランド人たちも変わっていく。頑固なオジサンも薬膳料理を食べて元気になったり、みんながイキイキしてきます。
小さな町の食堂は、みんなが集まる場所。みんながみんなを知ってる。その人間関係を見ているだけでも面白い! 今、私はミュージカル『WAITRESS』のお稽古中で、この作品もダイナーが舞台。町の人々は毎日、ここに来る。日本でいう田舎の喫茶店みたいな感覚でしょうか。
チェンはなぜフィンランドに来たのか? 国の違いと淡い恋…見ているだけで癒やされました! そして、おなかが空きました!!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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